アウディジャパンは、新型Audi A8について、新開発のアクティブサスペンションなどの先行情報を発表した。同車種は、7月11日にバルセロナで開催される「アウディサミット」で、公開される予定となっている。

新開発のアクティブサスペンション

新型Audi A8は、乗員の幅広いニーズに応えるラグジュアリーセダン。アクティブサスペンションを採用しており、スムーズな乗り心地を提供する一方で、スポーツカーのようなダイナミックなドライビング性能も持っており、これらの特性は新開発のアクティブサスペンションによって実現されているという。同サスペンションは、完全アクティブ制御のエレクトロメカニカルサスペンションシステムで、個々のホイールを独立制御して道路状況に対応する。

各ホイールには、今回初めて車両の主電源に採用された48ボルトの主電源システムにより駆動される電気モーターが備わっており、複数のギヤ、チタン製トーションバーを内蔵したロータリーチューブ、カップリングロッドを介してサスペンションに1,100Nmの力を加えるレバーなどが組み合わされている。

また、フロントカメラからのデータをもとに、システムは道路の前方にある凹凸を検知し、クルマがその凹凸に到達する前にアクチュエーターに適切なストローク幅を伝えて、積極的にサスペンションを制御する。サスペンションが適切なタイミングで事前に対応することにより、揺れや振動を解消することができるという。さらに、カメラからは路面情報が1秒間に18回送信されており、エレクトロニックシャシープラットフォーム(ECP)が路面情報を分析処理し、ほぼリアルタイムで、すべてのサスペンションコンポーネントを正確にコントロールするという。そのほか、アクティブサスペンションの目に見える効果としては、例えば、コーナリング中のロールや、制動および加速時のピッチングが徹底して抑え込まれていることが挙げられる。

また、ダイナミックステアリングと後輪ステアリングを組み合わせたダイナミックオールホイールステアリング(4輪操舵)により、敏捷性と安定性という、相反する目標も同時に達成している。ステアリングフィールも、快適性重視からフィードバックを高めた設定まで、幅広い調整が可能で、回転半径はAudi A4の数値よりも小さくなっている。

さらに、アウディプレセンス360°、セーフティシステムとの組み合わせパッシブセーフティのレベルも引き上げられている。セントラルドライバーアシスタンスコントローラー(zFAS)にネットワークされた多数のセンサーの働きにより、システムは衝突の可能性を検知し、25km/h以上での側面衝突が避けられないと判断された場合には、サスペンションのアクチュエーターを稼働させて、0.5秒以内に衝撃を受ける側のボディを最大80mm持ち上げる。その結果、サイドシルやフロアの構造体など、車体のより強度の高い部分で衝突の衝撃を受けられるようになるという。これにより、ボディを持ち上げない場合と比べて、乗員にかかる衝撃の負荷を最大50%低減させることができるようになるということだ。