IDC Japanは6月19日、国内モバイルデバイス市場(スマートフォン市場、タブレット市場、PC市場、データ通信カードなどのData Communicationを含む)における2017年第1四半期(1~3月)の出荷台数実績および2017年~2021年の予測を発表した。これによると、2017年第1四半期の出荷台数は前年同期比17.3%増となった。

国内モバイルデバイス市場 出荷台数予測、2016年~2021年

2017年第1四半期の出荷台数は前年同期比17.3%増の1410万台となり、これは家庭市場の中心であるスマートフォンや、ビジネス市場中心であるPCがプラス成長になったのに加え、タブレットも家庭市場でプラス成長になったことが要因だという。スマートフォン市場は、新製品のAndroidベースの携帯電話や、Android端末の通信事業者向け出荷が好調に推移したことにより、前年同期比30.1%のプラス成長となり、iPhoneも同6.3%のプラスで安定的な成長を維持。

PC市場も全体として6.3%のプラス成長となり、中堅中小企業を中心とした買い替えサイクルの回復により、ビジネス市場では前年同期比6.3%増と出荷を伸ばした。また、家庭市場向けPCも量販店での在庫調整が一段落したため、同6.4%増の出荷となった。一方、タブレットは家庭市場では通信事業者向けモデルが好調だったことから、同9.7%のプラス成長となったが、ビジネス市場では依然として厳しい状況が続き、同15.2%のマイナス成長となり、全体では3.0%のプラス成長だった。

2017年通年の国内モバイルデバイス市場は、前年比10.5%増の5367万台と予測し、家庭市場向け出荷は同10.8%増の4231万台、ビジネス市場向け出荷は9.7%増の1136万台を見込んでいる。スマートフォン市場は、ビジネス市場向けおよび家庭市場向けともに従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切替えが進むことや、iPhoneが幅広いラインナップで堅調な成長を維持することが想定されるため、プラス成長を予測している。

PC市場は、買い替えサイクルの回復などにより、3.7%の微増が見込まれ、家庭市場、ビジネス市場共に回復が期待されている。また、タブレット市場は、家庭市場でのキラーアプリケーション不在の解消による実需回復への方策、およびビジネス市場でのPCとの差別化の困難さという課題への処方箋が見いだせない状況が続くため、出荷が進まない状況が続くと見込んでいる。

同社のPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである菅原啓氏は「モバイルデバイス市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.1%と予測している。ビジネス市場の中心であるPCは、買い替えサイクル等の観点から市場環境が好転しつつあると見込まれる。ただし、家庭市場では大きな市場の変化は期待できないと考えている。スマートフォンは、家庭市場で従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切替えが進むことや、ラインナップの拡大により従来型携帯電話からiPhoneに切り替える層が存在するとみられることから、市場自体は2019年頃までは活性化すると予測している」とコメント。

また「全体としては、2017年の国内モバイルデバイス市場は前年比プラス成長が期待されるが、2020年以降の市場の停滞に備え、各プレイヤーは新たなイノベーションの種をまいておく必要があるだろう」と同氏は述べている。