「キウイフルーツってすっぱくて苦手」。昨年、ゼスプリ インターナショナル ジャパン主催のメディアセミナーに参加してキウイフルーツ(以下キウイ)の健康効果を知った筆者が、家族や友人に勧めていたときによく返された言葉だ。一度でもすっぱい果実にあたると、そういうイメージがついてしまう。そして、バナナやりんごのように、比較的甘さに当たり外れのない果物に手が伸びてしまう気持ちもわかる。

でも、それではもったいない。なぜなら、キウイは他と比較しても特に栄養バランスのすぐれた果物だからだ。今回は、日本のスーパーで売られているキウイが、ニュージーランドでどのように生産・出荷されているのかをお届けしたい。

ニュージーランドNo.1のキウイ生産地へ

ニュージーランドのキウイ農園を見学してきた (c)Ant Gray

ニュージーランドのキウイ主要生産地は、オークランドから南東約200kmの北島に位置するタウランガ市。今回の旅では、このニュージーランドNo.1生産地を訪ね、広大なキウイ農園を見学させてもらった。

キウイの果実を強風から守るために、畑の周りは高さ10メートル程度の防風林で囲まれている (c)Ant Gray

つる性の植物であるキウイを強風から守るために、畑の周りは高さ10メートル程度の防風林で囲まれている。畑の中に足を踏み入れると、生命力を感じさせる新緑のつる草に、たわわに実ったキウイ。その数に圧倒されてしまう。

「果樹園を始めて35年ですが、最初は1ヘクタールだった畑が、今では20ヘクタールにまで拡大しました」と話すのは、息子さん2人と家族でキウイ農園を営んでいるメルヴィン・ウォーカーさん。幹やつる草、そして果実に大事そうに触れながら話す様子から、キウイへの愛情が伝わってくる。

家族でキウイ農園を営むメルヴィン・ウォーカーさん

大体の果樹園で収穫できるキウイは、1ヘクタールあたり9,000~1万2,000トレイ(1トレイが3.6キロ)。季節や気温に合わせて、蜂による受粉、剪定、害虫駆除などの栽培管理を重ね、毎年3~6月に収穫する。

葉で作った栄養分が根の方に行くのを阻害して、果実に栄養が集中するように幹を傷つけている (c)Ant Gray

幹をよく見ると傷があることに気づく。幹を傷つけることで葉で作った栄養分が根の方に行くのを阻害し、果実に栄養を集中させているという。それもこれも、大きくて栄養たっぷりなキウイを実らせるためだ。

「今年は水害があったので、果実から水分が抜けるのを待ってからの収穫になります。キウイの栽培で大切なのは、きちんと果実に栄養分を行き渡らせること。大きくておいしい果実になるように育てています」。

水分を多く含んだキウイ (c)Ant Gray

皮に傷のできたキウイは牛のエサに……!

葉の摩擦によって皮に傷ができる場合があり、1平方センチメートル以上の傷があるものは除外する。今年の予測では、全体の10%程度が除かれるという。除外品はジュースにして飲むこともあるが、ほとんどは牛のエサに。

ウォーカーさんは「キウイは牛も大好き。人間にも牛にも良い果物なんですよ」と笑う。そして、「皆さんには、私たちのキウイのおいしさを広めてほしいです。いつか日本に行って、キウイが売られている所を見てみたいですね」。

食べ頃の見分け方と追熟法

キウイの代表的な品種には、果肉が緑色で酸味のある甘さが特徴の「ゼスプリ・グリーン(ヘイワード種 ※以下グリーン)」、果実が黄色でグリーンより糖度が高い「ゼスプリ・サンゴールド(ZESY002 ※以下サンゴールド)」などがある。

グリーン(左)の皮は毛が生えているのに対し、サンゴールド(右)の皮は毛がなくツルっとしている (c)Ant Gray

グリーンもサンゴールドも皮の色では熟度はわからないため、キウイを手の平で優しく包み込むように持って、少し柔らかいと感じるぐらいが食べ頃だという。

手に持ってみてちょっと硬いと感じるときは、追熟する方法もある。それは、りんごやバナナなど、果実を成熟させる成分「エチレン」を出す果物と一緒にビニール袋に入れる方法で、室温で2~3日置けば熟してくる(その後は冷蔵庫で保管)。硬くすっぱいキウイも、この追熟法を試せば甘く柔らかくなるというわけだ。

生のまま&丸ごと食べられる「ハーフカット」がおすすめ!

おすすめの食べ方は、ハーフカット。キウイには、ビタミンCや食物繊維、カリウム、葉酸などさまざまな栄養素がバランスよく含まれている。キウイを半分に切ってスプーンですくって食べれば、栄養素を壊すことなく効率よく摂取できる。

ちなみに、肉をよく食べるニュージーランド人は、ステーキ肉を焼く前にキウイでマリネにすることも多いという。そうすることで肉が柔らくなり、フルーティーな味わいが楽しめるとのこと。

農園見学の後、メルヴィン・ウォーカーさんの自宅でニュージーランドの家庭料理がふるまわれた。もちろんキウイも!