BASFジャパンは14日、アジア太平洋地域を含む世界の自動車のカラートレンド予測を発表した。

グローバルトレンドのひとつ「フルーイド・グリッド」のカラーパレット。右上の透明感の高い鮮やかなブルーを実現するために、新技術が用いられているという

同社の自動車のカラートレンド予測は、自動車の色選択に影響を及ぼすことになるグローバルトレンド、および3つの地域(EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋、北米地域)のデザインチームが研究・分析したローカルトレンドについて、今後3~5年間を視野に入れた内容を発表している。まず大きな統一テーマを設定した後、グローバルテーマ、ローカルテーマという順で範囲を狭めてカラー選定に落とし込んでいるという。

カラートレンドの解説を行った、同社 チーフデザイナーの松原千春氏

最も上流にある統一テーマは「透明と不透明の間」(トランスルーシッド:Translucid)。スマートフォンなどのモバイル端末画面のガラスを通じて、人々がインターネット越しに双方向でつながりながら生活していることを指摘し、フェイクニュースやSNS上で発信する虚栄心による投稿などで、画面のガラスが時には比喩的に「曇る」と表現。不透明で危うい環境から生まれる不安から、人々は実態のある物を求めるようになり、柔軟な姿勢で透明/不透明の間を行き来し、よりよい方法を見つけ出していくような精神性が求められるだろう、というテーマの背景を説明した。こうした内容を受け、今回は「透明感」と干渉効果のある「曖昧さ」が特徴となる、65色のカラーパレットが公開された。

前述の65色は、自動車会社が設定するコミュニケーションカラー(広告などに反映する、目を引く車体の色)のように世相を反映したカラーも、実売のボリュームゾーンとなりうるベーシックカラーも含んでいるという。

今年の自動車トレンドカラー予測のカラーパレット

アジアパシフィックのテーマは「Unbound-解放されたマインド-」。特に中華圏にフォーカスを当てた予想となっており、経済成長を甘受しつつも環境がめまぐるしく変化し厳しい競争に追われ、社会や家族からのプレッシャーもある中、そこから勇気を持って解き放たれた若者たちは、ファッションやライフスタイルに自信をもち、反抗的精神をクールに表現するとして、こうした社会的ムードを同社ではガラスフレークを散りばめた深みのあるビビッドな赤によって表現したとのこと。

日本の自動車カラーは「原点回帰」の傾向と予想

また、日本国内にフォーカスを当てた予想としては、ネイビーブルー、 ディープレッド、ダークグレーといった、自動車のカラーバリエーションとしては基本的な色域が再注目されるという。この傾向は、今日の不安定な世界情勢から、人々がしっかりとした安心感や安定感を求めるためと解説された。ベーシックな色でありつつ、最新技術による深い透明感で表現されるため、一目見た時の派手さは無いが、注視すると高質感やメッセージを感じることができるとしている。

また、その一方で自動運転車など自動車のあり方の定義が変化するに伴い、未来感のある特徴的なカラーが現れるだろうと予想した。2トーン、3トーン、また、それ以上のカラーコーディネートが施され、色だけでなく、異なる素材とのコーディネートも登場すると考えられるとコメント。今年のアジア太平洋地域の予想カラーを代表する透明感の高い「ブルー」、グリーンからブルーのレイヤーがかかった「パールホワイト」、奥行きのある層を感じる「ライトグリーン」は、他の色や素材とのコーディネートに最適であることも付け加えた。なお、寒色系の色は2015年のトレンド発表以来、そのトレンド性が継続しているという。