NTTと日建設計総合研究所(NSRI)は6月15日、都市のさまざまなビッグデータをエリアマネジメントに活かすため、AI(人工知能)を利用したエリア情報活用プラットフォーム「AI×AI(アイアイ、仮称)」の共同研究を行っていると発表した。

「AI×AI」の利用イメージ

今回、同プラットフォームの実現に向け、三井不動産との協働により実証実験に向けた事前調査を行い、複数の分野におけるエリアマネジメント最適化の可能性を確認。今後、日本橋室町地区において、このプラットフォームを実際の計画・マネジメントに活かすための実証実験を行う予定だ。

同プラットフォームは、NSRIのこれまでの都市開発に係る計画・マネジメントの知見と、NTTのデータ収集・解析に係る知見を組み合せ、都市開発・エリアのマネジメントに対して最適なソリューションを提供することを目指している。

具体的には、Human-centered(ヒト中心)というコンセプトに基づき、ユーザーにとっての快適さや使いやすさ、という視点を重視しつつ、実際の都市開発・エリアの計画、維持管理に関する活動を効率化するようなアルゴリズムを構築。

収集された多様なビッグデータ(IoTデータ、エネルギー関連データなど)をNTTグループのAI技術「corevo」を用いて処理し、コミュニティ、交通、エネルギーなどの課題に応じて、最適なソリューションを導くことを目的としている。

日本橋室町地区以外のエリアや、空港、ターミナル駅、スタジアムなどの大規模施設への展開も可能と考えられており、NSRIとNTTは、さまざまなエリア・施設への展開を目指し、共同研究を行っている。

また、両社は商業施設など不特定多数の人々が集まる場所における人の流れに着目しており、ライブに把握された人流データとほかのデータを組み合わせることにより、さまざまなソリューションが得られるという。

例えば、人流の粗密に応じた空調制御やエレベーターなどの運行の最適化、清掃仕様の最適化、また、イベントの魅力向上による賑わいの形成などが挙げられ、これらを活用することがエリアマネジメントの最適化に繋がるとしている。

これらの効果を実証するためには、実際のフィールドにおける実証実験が効果的となり、NSRI、NTT、三井不動産の3社は今後、展開を予定している実証実験の事前調査として、オフィス・住宅・商業施設等、多様な都市機能が集積し、三井不動産が官民地元と共同で都心型スマートシティのモデルプロジェクトを推進する日本橋エリアのコレド室町1において人流を測定し、ビルのマネジメントデータと組み合わせた分析を実施した。

「コレド室町1」における人流把握結果(1mメッシュで時間あたり人密度を表現)

この結果、人流の時間・場所ごとの粗密に基づき、例えば空調を制御することで、来訪者が快適に感じられる体感温度レベルを維持しつつ、空調に使用するエネルギー消費量を大幅に削減する可能性を確認するなど、複数のエリアマネジメントの最適化のイメージを得ることができたという。

人流把握結果に基づくエリアマネジメントの最適化のイメージ

3社は、事前調査により得られたデータを基に、今後コレド室町1以外の日本橋エリアにも調査対象を広げ、このエリア情報活用プラットフォームを実際の計画・マネジメントに活かすための実証実験に取り組んでいく予定だ。