女優の新垣結衣が主演したTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年10~12月放送)の那須田淳プロデューサーが8日、都内で行われたビデオリサーチ主催の「ひと研究所セミナー」にゲストとして出席し、同ドラマのヒットを振り返った。

那須田淳プロデューサー

那須田氏は『逃げ恥』のヒットについて「初めて体験するようなヒットの仕方だった」とコメント。「だいたいヒットするドラマは、スタートと最終回の視聴率が良く、途中落ちることが多かったが、『逃げ恥』は最初が10.2%で最後20%を超えた。スタートと最後で倍違う」と説明し、「それだけ最初みんな期待していなかったというのもあるのかなと思うんですけど」と話した(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

最初に大事にしていたことは、火曜日の22時からのドラマということで、「ウィークデイのドラマということ」。「1日の自分の楽しみになるような、自分のご褒美になるような、それがウィークデイのドラマに大事なところ」と考えたという。また、「テレビとドラマが人気なくなってきたと言われている中で、連続ドラマの一番いいところは、いろんな世代にとって楽しいということ」と続け、「なので、1日のご褒美になるような、まず楽しんでもらうことが大事だと思った」と語った。

『逃げ恥』は社会派ドラマとも言われたが、制作サイドは特にそう意識はせず、とにかく"楽しさ"を強調していたそうで、「楽しそうだと思ったら親近感も沸く」と那須田氏。エンディングで主題歌「恋」に合わせて共演者が踊り、社会現象になった"恋ダンス"も、"楽しみ"として取り入れた一つだそうで、「ドラマの中ではいろんなシーンがありますが、最後楽しく終わりたかったので、最後にあのダンスを。それも、あまり難しすぎない、でも実際やってみたら難しいという、体感したくなるものに」と明かした。

さらに、「新垣さんのかわいさなど、ダイレクトに幸福感を生むようなものを詰め込んだ。ちょっと詰め込み過ぎたかなというのはあるんですが、たくさん楽しみを詰め込んで、どれか楽しんでくれたらいい、どこから入ってくれてもいい、でもきっと楽しいはず。そういう風に作ろうと思っていた」と語った。

セミナーでは、来場者にも「『逃げ恥』のヒットの理由はどこにあると思いますか?」というアンケートを実施。「恋ダンスの話題性」が34%で最も多く、続いて「取り扱っているテーマ」が26%、「ドラマのストーリー」が24%、そして「出演者」が13%という結果に。那須田氏は、いろんな楽しみ方ができるように作ったドラマだからこそ、「ヒットの理由が分かれていることは本望」と喜んだ。

主人公・森山みくり役の新垣結衣(右)と津崎平匡役の星野源