街中を抜ける河川のほとりを歩くと河川の氾濫を防ぐためにコンクリートが延々と続いている。台風や大雨の折には、水かさが増し水位がギリギリまで上昇していることを目にすることもある。これを見るたびにいかに護岸コンクリートが重要な役割を担っているかを痛感する。

日本には3万5千を超える河川があるそうだが護岸コンクリートの劣化検知は、時期や地域によって整備形式が異なるため、点検・改修には熟練技術が必要で人の目に頼る部分が主体だったという。総合建設コンサルタント会社である八千代エンジニヤリングとAIのビジネス活用を支援するブレインパッドは、護岸コンクリートの劣化をAIにより検知する試みを開始。撮影した画像からひび割れなど劣化の有無を自動判断できるアルゴリズムを開発したが、検証の結果人手により検査と遜色ない精度を保てることが判明したことを発表している。

今回対象となった護岸コンクリート

八千代エンジニヤリングは、総合建設コンサルタントとして、社会資本整備を中心に企画、調査、設計、解析や維持管理やインフラの危機管理などのマネジメントも手がけ、国内外で河川や海岸、ダム、砂防や港湾と総合的なコンサルティングサービスを提供しているが、国内では道路や下水道、橋なども含む1960年代高度経済成長期に整備されたインフラの経年劣化への対応が課題であった。アルゴリズムは、Googleのオープンソース深層学習フレームワーク「TensorFlow」が用いられている。

ディープラーニングを活用するデータ処理は初めてであったという八千代エンジニヤリングだが、豊富な実績を持つブレインパッドとの協力による成果を同社では高く評価しており、今後のさらなるプロジェクトの発展が期待される。