あのパナップに高額商品が登場する。宮崎県産の完熟マンゴー「太陽のタマゴ」と“幻の”黒いちじく「ビオレ・ソリエス」をソースとして使う、2個で2500円のプレミアムセットだ。江崎グリコがハーゲンダッツ一強の高級アイス市場に殴り込みをかけるような構図だが、よくよく話を聞いてみると、狙いは別の所にあるらしい。

高級感のあるパッケージ。左が「太陽のタマゴ」、右は「黒いちじく」だ

高級フルーツをソースに

パナップは「パフェ」と「カップ」を組み合わせたコンセプトで1977年に誕生した商品。縦長のカップにぎっしり詰まったミルクアイスと、そのアイスを縦に貫くフルーツソースが織り成すあの味を知らない人は少ないのではないだろうか。

おなじみのパナップ。カップには、同商品のルーツを示す「フルーツパフェ」の文字がしっかりと刻まれている

そのパナップに新たに加わるのが、2個で2500円の超高級アイス「プレミアムセット」と、1個500円の高級アイス「レギュラーシリーズ」だ。

プレミアムセットは太陽のタマゴと佐渡島産の黒いちじく「ビオレ・ソリエス」をフィーチャーした高級アイスだ。太陽のタマゴは1個1万円以上もする最高級のマンゴー。ビオレ・ソリエスは栽培が難しく日持ちもしないので、流通量の少なさから幻のいちじくと呼ばれているという。レギュラーシリーズは「ラ・フランス(洋ナシ)」「あまおう(いちご)」、「マスカット」、「ブルーベリー」の4種類。これらの高級商品群には、通常版よりも乳成分が多い特別なミルクアイスを使うという。

左から「ラ・フランス」「あまおう」「マスカット」「ブルーベリー」

今回のパナップに使用するフルーツは、山形県に本拠を置くセゾンファクトリーが用意する。同社は百貨店やオンラインショップなどでジャムやジュースを販売する企業だ。

高級アイス市場に参入?

高級アイス市場は300億円規模で、そのうち288億円はハーゲンダッツが押さえる一強の構図らしいが、高級パナップは有力な対抗馬となれるのだろうか。そこが気になったのだが、江崎グリコはハーゲンダッツとの一騎打ちを望んでいるわけではないようだ。

高級パナップは数量限定で、販売場所はデパートに限られる。そもそも、スーパーマーケットで手軽に購入できるハーゲンダッツとは正面からぶつからない仕組みになっているのだ。ただ、ハーゲンダッツと覇権争いを演じるつもりがないとすれば、高級パナップ登場の背景がますます気になってくる。