ベンチマークその2 Optane Memoryのキャッシュとしての性能を検証

では、Optane MemoryによってHDDがどこまで高速化されるのか確かめていこう。今回は、Optane Memoryの32GB版(MEMPEK1W032GAXT)を用意し、これに500GBのSATA HDD、240GBのSATA SSDを組み合わせてみた。また、HDDとSSD単体でのパフォーマンスと、指標として256GBのNVMe SSDのパフォーマンスも合わせて見ていきたい。そのほかの検証環境については下の表にまとめた。

CPU Intel Core i7-7700K(4.2GHz)
メモリ Kingston HyperX Fury (DDR4-2400 8GB×2)
M/B ASRock Z270 Taichi(Intel Z270)
グラフィックスカード MSI GeForce GTX 1050 Ti 4GT LP(GeForce GTX 1050 Ti)
Optane Memory Intel MEMPEK1W032GAXT(PCI Express 3.0 x2、M.2、32GB)
SSD(SATA) WesternDigital WD Green WDS240G1G0B(Serial ATA 3.0、M.2、240GB)
SSD(NVMe) 東芝 XG3 THNSN5256GPU7(PCI Express 3.0 x4、M.2 NVMe、MLC、256GB)
HDD WesternDigital WD Blue WD5000AZRZ(Serial ATA 3.0、5400rpm、500GB)
OS Windows 10 Pro 64bit

まず、OSの起動時間(電源投入からデスクトップ表示までの時間)を見てみた。すべてOSインストールの後、Windows Updateを行い、ドライバを適用後のクリーンな状態で計測を始めている。

OS起動時間については、Optane Memoryを用いるからといって決して速くなるというわけでもないようだ。まずHDD+Optane、SSD+Optaneは、初回起動時にやや時間がかかっていることと、以降もそれぞれの単体の状態と比べて1秒程度遅い。初回起動時については、おそらく最適化のプロセスが働くのではないかと考えられる。

一方で単体の際と比べて1秒遅い点については、どちらかと言えばUEFIブートプロセスにおいて、ハードウェアの認識が1台ぶん増えることが影響しているのではないだろうか。ここはFast Bootを適用することで解消できる可能性もある。

逆に、HDDが意外と速いことに気づく。これはOS側が起動時間の最適化を行うためである。Windows 10では以前のOSと比べても顕著に短時間で起動するようになった。ただし、HDDとOptane Memory利用時で比較すると、例えばデスクトップ表示後に、タスクトレイに常駐ソフトがすべて表示されるまでの時間では、Optane Memory利用時のほうが確実に短い。

HDD単体の場合は、デスクトップ画面表示後に、しばらくマウスカーソルが砂時計状態になり、そこでアプリケーションを起動しようとしてもしばらく待たされるのだが、Optane Memory利用時は、この待ち時間が解消されるようだ。

また、システムに大きな変更があった場合、特にHDDの場合は次回のOS起動速度がかなり遅くなる。Optane Memoryを組み合わせた場合でも、その際のOS起動速度は確かに遅くなるが、HDD単体の時ほどではなく、ある程度は低減できる。

続いてそれぞれのシステムドライブとして利用した際のCrystalDiskMarkのスコアを見てみた。

結果はご覧のとおり。HDDのパフォーマンスは、ランダム時などは1桁MB/s台であるわけだが、Optane Memoryを利用することでシーケンシャルでは1GB/s台へ、ランダムについても3桁MB/s台へと飛躍的に高速化する。

興味深いのはSATA SSDにOptane Memoryを組み合わせた場合で、例えばシーケンシャルライトのQ1T1時のように、SATA SSD単体のスコアよりも遅い結果となることもある。つまり、Optane Memoryを適用すると、必ずOptane Memoryを経由した転送を行うわけで、Optane Memory側がボトルネックとなることもあるようだ。

ただし全般的に見れば、ランダム性能が高く、ランダムリードのQ1T1などはNVMe SSDをも上回っているし、同ライトも同等に近い性能だ。こうしたところはかなり効いてくるものと思われる。

次はAS SSD Benchmarkを用いて、アクセスタイムを計ってみた。その結果がこちらだ。

AS SSD Benchmark(アクセスタイム、単位:ms)
リード ライト
HDD 14.806 14.584
HDD w/ Optane 0.015 0.019
SATA SSD 0.056 0.167」
SATA SSD w/ Optane 0.088 0.024
NVMe SSD 0.030 2.325

これはなかなか興味深い結果だ。リードについては、最速がHDD+Optane Memory時。SATA SSD+Optane MemoryはSATA SSD単体よりも遅かった。そしてアクセスタイムは、HDD+Optane Memoryは、NVMe SSDよりも速い。

ライトについては、2つのOptane Memory適用時が速い。そしてSATA SSDとも桁が違い、NVMe SSDは思ったほど速くはない。Optane Memoryのアクセスタイムの速さは、ひとつの特徴と言ってよいだろう。

続いてファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのローディングタイムを見てみた。

理由は分からないが、HDD+Optane Memoryが最速という結果となった。一方でSATA SSD+OptaneがSATA SSD単体よりも遅い。おそらくは先のCrystalDiskMarkで指摘したような部分が複雑に組み合わさって現れてしまったのではないかと考えられる。

HDD単体に対するHDD+Optane Memoryの効果はなんとなく分かったが、FFXIVベンチマークだけでは分からないので、PCMark 8のStorage Testも計測してみた。

Storage Testは主要な6項目で計測した。ゲームの起動に関するテストはWorld of Warcraft v2とBattlefield 3 v2、クリエイティブ系アプリケーションではAdobe Photoshop light v2とAdobe Photoshop heavy v2、ビジネス系アプリケーションMicrosoft Word v2とMicrosoft Excel v2とした。個別にではなく、6つのテストを通しで検証している。

PCMark 8のStorage Testは、シナリオに沿ってファイルを読み込み、処理し、書き込むことを繰り返す。今回、ストレージ以外の環境は統一しているため、処理時間は変わらない。変化するのは読み込みと書き込みに要する時間だ。

まずはゲーム。HDD+Optane Memoryは、SATA SSDやSATA SSD+Optane Memory、NVMe SSDに次ぐ速さだ。さすがにSSDには敵わない結果となったが、HDD単体と比べれば大幅な時間短縮となり、SSD勢に迫っている。

続いてPhotoshop。大きなサイズのデータを読み書きするため、Storage Testのなかでも時間のかかるテストだ。ここではHDD→HDD+Optane、SATA SSD、SATA SSD+Optane、NVMe SSDというきれいな順になった。そして若干ではあるがSATA SSD単体よりもSATA SSD+Optaneのほうが速かった。

最後はビジネスソフト。これもここまで見てきた流れと同じだ。HDD+Optaneの効果は十分であるし、SSD勢の速度に近い。一方で、高速なはずのNVMe SSDもSATA SSDとさほど変わらない所要時間となっている。このあたりは読み書きの速度が十分であり、パフォーマンスを向上させるならばCPUやメモリなどシステム側が重要になるというところだろう。

ここまで紹介したOptane MemoryのStorage Testの値は、3回計測した際の平均値だ。キャッシュという特性上、ヒット率次第で速度は大きく変わる。1回目から3回目までの生のデータも確認しておこう。

アプリケーション World of Warcraft v2 Battlefield 3 v2
1回目 91.0 237.1
2回目 59.5 133.0
3回目 81.4 192.1

速度のバラつきがとくに激しかったのがゲーム系だ。Photoshopなどでは差が小さく、ビジネスソフトは短時間で終わるテストでは差はそこまで大きくなかった。この表のBattlefield 3 v2のように、速い時と遅い時で100秒近くも差が生じることもある。ほか、ここまでのStorage Testの値は「秒」だが、転送速度のデータもあるので合わせて紹介しておこう。

PCMark 8 Storage Test、読み込み転送速度(単位:MB/s)
アプリ World of Warcraft v2 Battlefield 3 v2 Photoshop light v2 Photoshop heavy v2 Microsoft Word v2 Microsoft Excel v2
HDD 6.6 5.5 4.2 5.1 7.2 6.4
HDD w/ Optane 52.2 98.9 47.0 73.4 86.0 387.1
SSD 87.5 151.8 68.5 76.9 143.3 151.3
SSD w/ Optane 368.3 232.8 241.7 104.6 542.7 478.0
NVMe SSD 228.0 501.2 379.4 345.6 347.9 312.2
PCMark 8 Storage Test、読み込み転送速度(単位:MB/s)
アプリ World of Warcraft v2 Battlefield 3 v2 Photoshop light v2 Photoshop heavy v2 Microsoft Word v2 Microsoft Excel v2
HDD 5.3 74.8 226.4 228.9 125.9 235.2
HDD w/ Optane 51.5 207.7 191.8 220.0 162.4 258.6
SSD 108.6 490.6 229.8 259.7 447.7 219.4
SSD w/ Optane 45.7 197.8 247.6 280.5 250.4 249.8
NVMe SSD 230.6 490.1 1013.4 920.6 687.8 1182.4

転送速度についてはこのような結果で、Optane Memoryを適用した際の結果はNANDフラッシュメモリの場合と比べてそれほど速くないが、所要時間が短い。これはアクセスタイムの速さからだろうか。また、NVMe NANDはとくにライト時はダントツに速いが、先のグラフのとおり所要時間になるとぶっちぎりで速いわけではない。ここが面白いところだ。