凸版印刷は、専用ホログラムをスマートフォンで撮影するだけで、真贋の機器判定が可能な新技術を確立したことを発表した。偽造・模造被害の深刻化が懸念される業界に向け、ホログラムラベルと真贋判定システムをパッケージ化した新サービスとして、2017年度中のサンプル出荷を目指すとしている。

特殊な発色効果がある専用ホログラム(左)をスマートフォンで撮影(右)、光学分析結果と設計情報を照合し真贋判定

近年、模造品の流通は世界的に拡大し、被害額は全世界で年間約177兆円に上ると言われる。模造品が流通し続けることで、真正品の売上減少やブランド価値の低下を招く恐れがあり、企業の偽造防止対応が課題になっている。

こうしたニーズに応える偽造防止ツールとしてホログラムは広く普及し、特に専門機器を使わなくても目視で真贋判断ができるホログラムは消費者へのサービスが展開しやすい点が評価されている。

しかし、真正品と偽造品を見比べられる場合は目視でも十分判定できるが、そうした状況は稀であり、見た目が類似している偽造品については、消費者が正しく真贋判断をするのは困難であった。

今回、凸版印刷が開発した新しい技術は、同社が独自開発した専用ホログラムの光学設計情報と、スマートフォンのカメラで撮影した同ホログラムの高精度な光学分析結果とを比較して、真贋判定を行うもの。

これにより、消費者自身が、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンで専用ホログラムを撮影するだけで真贋判定ができるという。例えば、商品の工場出荷時にホログラムラベルを貼付することで、流通・販売・消費・利用の各場面において、スマートフォンで撮影するだけで、誰でも高精度な真贋判定が可能となる。

また、このホログラムは特殊な製造装置・材料を用いて作られているため、セキュリティ性が非常に高く、偽造や模造がほぼ不可能だということだ。

凸版印刷は同技術を用いた真贋判定サービスの開発を進め、2017年度中にテストマーケティングを実施し、2018年度秋よりサービスの提供を開始、2020年までに関連受注を合わせ約10億円の売上を目指すとしている。