このほど、レノボ・ジャパンがNECパーソナルコンピュータの米沢事業場に設置している「米沢ファクトリー・インテグレーション・センター」の様子を取材する機会を得た。同センターは2016年6月に一部運用を開始、2016年10月から本格的な運用をスタートしており、これまでに約200台のLenovo Converged HXシリーズを出荷している。

NECパーソナルコンピュータ米沢事業場

レノボ・ジャパン データセンターグループ データセンターソリューション事業本部副事業本部長兼製品統括本部統括本部長の橘一徳氏は、「2017年度第4四半期までには月100台の体制に拡張し、2018年度には、Lenovo Converged HXシリーズで、年間1200台以上の出荷を目指す」と意気込む。Lenovo Converged HXシリーズ全量の出荷前の特別点検やハードウェア構成の変更、ソフトウェアの追加などを、米沢ファクトリー・インテグレーション・センターで行っており、約3倍の出荷台数へと拡張するのに伴い、体制強化に取り組む考えだ。

レノボ・ジャパン データセンターグループ データセンターソリューション事業本部副事業本部長兼製品統括本部統括本部長 橘一徳氏

米沢ファクトリー・インテグレーション・センターは、山形県米沢市のNECパーソナルコンピュータ米沢事業場に設置されている。米沢事業場では、NECブランドの個人向けおよび法人向けPCを生産しているほか、レノボ・ジャパンが国内向けに販売しているThinkPadシリーズの上位モデルの生産も行っている。

米沢ファクトリー・インテグレーション・センターは、米沢事業場が持つPCの生産ノウハウを活用し、高い品質を維持しながらインテグレーションサービスを行う場所であり、Lenovo Converged HXシリーズを中心に、System x、Flex System、NeXtScaleといったサーバ、アプライアンス製品のほか、SDS(Software Defined Storage)製品であるLenovo Storage DXシリーズのインテグレーションサービスも実施している。先ごろ発表したデータコアによるLenovo Storage DX8200Dも、同センターでインテグレーションが行われる。

ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)のLenovo Converged HXシリーズの場合、中国・深センで生産された製品をすべて開梱し、デリバリー前の検品のほか、CPU換装、ハードディスクの組み換え、メモリ増設、Nutanixやアプリケーションなどのソフトウェアプリロードといったカスタマイズサービスを行い、「日本のユーザーに安心して利用してもらえる高品質でのキッティングサービスを提供できる」(橘氏)という。

米沢ファクトリー・インテグレーション・センター

米沢ファクトリー・インテグレーション・センターでは、長年にわたってPCの生産を行ってきた社員が専任体制で対応し、米沢品質で出荷する体制を整えている。同センターを統括するNECパーソナルコンピュータ生産事業部IoT推進部 主任の島津忠雄氏は「もともと米沢事業場では、Windowsを搭載するPCの生産を行ってきたことから、社員はLinuxや仮想化技術に関する知識・ノウハウを蓄積していなかった。だが、米沢ファクトリー・インテグレーション・センターの開設に合わせて、Linuxに明るい社員ややる気のある社員などを選抜。Nutanixの協力を得て、集中的に学習を行って知識を習得することで、サービス体制を整えた。2017年度上期中には10人体制でインテグレーションサービスが行える体制にまで拡充する」としている。

NECパーソナルコンピュータ生産事業部IoT推進部主任 島津忠雄氏

米沢ファクトリー・インテグレーション・センターで提供される「ファクトリーインテグレーションサービス」は、外観検査や内観検査、故障診断プログラムによる検査を行う「初期稼働確認」のほかに、「ファームウェア更新」「内蔵オプション実装」「RAID設定」「OSインストール」「ソフトウェアインストール」「ラック搭載」「オンデマンド・カスタマイゼーション」といったユーザーの要求仕様に合わせたキッティング作業を実施する。さらに、パートナーやユーザー企業が、機器設置時における手間を削減できるようにするための「輸送、運搬、搬入、廃材回収」サービスを用意。

サービスメニューは、これら9つで構成されることになる。なお、これらのサービスは、時間当たり工数による個別見積での有償サービスとなっているが、基本的には全量が米沢ファクトリー・インテグレーション・センターを通ることになる。

「2016年10月に本格稼働して以降、米沢ファクトリー・インテグレーション・センターを通じて、200台のLenovo Converged HXシリーズを出荷したが、着荷不良はゼロ。安心して使ってもらえる環境を実現している。高性能、高信頼のハードウェアを提供できることに加えて、国内の米沢事業場というユーザーに近い環境において、インテグレーションサービスを提供するできることは、大きな付加価値になる」(橘氏)と自信を見せる。

米沢ファクトリー・インテグレーション・センターを通過した製品の外箱には、「米沢工場検査製品」のシールが貼られ、さらに、作業を行った社員の顔写真入りの作業チェックシートが同梱される。まさに、米沢事業場の社員が、自信を持って保証していることを示すものになっている。

Lenovo Converged HXシリーズのベースとなるSystem Xを取り出す

まずは外観検査を行う。傷がないことなどを確認。間違った型番のプレートが貼られていたこともあったという