ベルギー・フランダース地方の持続可能エネルギー研究組合Energty Villeのメンバーである独立系半導体ナノテク研究機関imecは4月18日(欧州時間)、両面照射n型PERT太陽電池(Bi-PERT)の前面側の変換効率を22.8%に上げることに成功したと発表した。標準的な前面照明条件下で、裏面にも太陽光の15%程度が照射され、片面照射型の太陽電池で26.2%に相当する変換効率が実現できた。

Bi-PERTは、n+側とp+側の両方に薄くて細い(<20μm)ニッケル-銀(Ni/Ag)めっきのフィンガーを有しており、太陽電池のコンタクトは、両面を同時にめっきする特許取得済みプロセスで作製されているという。このめっきは、複数のウェハを収納したカセットを化学薬液槽に浸漬して両面同時にしかもすべてのウェハを一括して行い、基板への電気的コンタクトを必要としないことが特徴で、これにより、今回、前面側の変換効率を平均変換効率で22.4%、最高で22.8%と引き上げることに成功したという。これらの結果は、ISE CalLabが正しくキャリブレートした基準セルに基づいて、前面照明と非反射チャックのみを使用した標準テスト条件下においてGridTOUCHシステムを使用して得られたものだという。

なお、imecの太陽電池開発担当プリンシパルエンジニアであるFilip Duerinckx氏によると、「一般には、いままで銀をスクリーン印刷で太陽電池両面に塗布していたが、これをニッケル-銀めっきに替えることによって銀の使用量を減らして、製造コストを削減できた」という。モジュールレベルで製造コストは0.30ドル/Wp未満と見積もられており、大型太陽光発電設備を設置した場合の均等化発電原価(levelized cost of electricity:LCOE)はさらに低下できる見込みとしている。imecでは、現在、60モジュールをワイヤで接続して実証実験を行っているという。

今回、imecが開発した両面照射型n-PERT太陽電池の外観 (画像提供:imec)