フェイスブックは、4月18日・19日に、カリフォルニア州サンノゼで開発者会議「F8」を開催した。世界最大のSNSが、同社のプラットホームで、どんなビジネスを展開するのか、そしてどんなコミュニケーション体験を提供していくのかを占う、重要なイベントとなった。

フェイスブックはこれまで、オキュラスを買収するなど仮想現実(VR)への取り組みを行ってきた。今回も、アバターを作成して友人とのバーチャルコミュニケーションを行う「Facebook Spaces」を発表し、仮想現実とSNSの相性の良さを生かした取り組みを披露した。

また、Facebook Messengerは12億ユーザーが日常的に利用するプラットホームへと成長したことを報告した。10万を数えるチャットボットから利用できるMessenger向け人工知能「M」による自動返信やおすすめ情報の掲出、チャット内で外部アプリを利用できる「Chat Extensions」を用意し、メッセージアプリ内でビジネスを展開できる環境を整えてきた。

そんな中で、意外だったのは、フェイスブックが「拡張現実」、ARについて言及したことだった。

カメラを拡張現実第一のプラットホームにする

基調講演に立った創業者・CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、ARについての取り組みを披露したなかで、カメラを用いてARのプラットホーム化を行う方針を明らかにした。

すなわち、カメラのプレビュー画面や、撮影した写真やビデオ、ライブ配信の映像から、AR体験を作り出していく環境を整備していく、ということだ。

ザッカーバーグ氏は、AR活用について、「情報表示」「デジタルオブジェクト」「装飾」という3つの分類を挙げた。

フェイスブックがARの活用を進めるのは「情報表示」「デジタルオブジェクト」「装飾」という3つ

情報表示の例では、例えば史跡にカメラを向けると、その名前や簡単な解説が自動的に表示される仕組みや、ランニング後にセルフィーを撮影したときに、ナイキアプリのランニング結果を合成するといった仕組みを挙げていた。

デジタルオブジェクトの例は、ポケモンGOのように、実空間に仮想的なキャラクターや物体を配置する仕組みだ。テーブルの上に配置したコーヒーカップを的から守るゲームをスマートフォンのが面内に合成する例や、レストランにおすすめのメニューを配置したり、自宅の冷蔵庫にレシピのメモを貼り付ける、といった例を紹介していた。

テーブルのコーヒーカップを的から守るゲームの例