ウェンディーズは世界29の国と地域で6,515店舗を展開するハンバーガーレストランチェーン(2014年度実績)だ。FKはウェンディーズに買収されたわけだが、考え方を変えれば、ロイヤリティを支払う代わりに、世界的なウェンディーズというブランドを活用できるようになったともいえるわけだ。

ごく簡単な例を挙げると、立地は良いのに業績で苦戦していたFKの店舗をコラボ店にするだけで、人が集まる場所にウェンディーズのハンバーガーを投入することができてしまう。紫関氏の話を聞いていると、ダブルネームでの出店はコラボの始まりに過ぎず、今後はさまざまな施策が出てきそうな印象を受けた。ウェンディーズはマーケティング、商品開発、店舗展開などについて前向きな話ができる、「非常にサポーティブ」な会社なのだという。

ファーストキッチン・ウェンディーズの看板商品「ウェンディーズバーガー」

FKがなくなる日は来る?

今回の合併では、コラボによって店舗が全て変わってしまうのか、FKという業態がなくなってしまうのか、という点が気になるところだった。

結果として、コラボが始まった現在も、FKとして営業している店舗は存在する。紫関氏は全てをコラボブランドで展開することは考えていないという。なぜなら、同じチェーンであっても地域によって求められる要素は異なるからだ。駅前の立地でも、ビジネス圏と住宅圏では顧客の層は同じではない。

コラボビジネスであったとしても、先方から言われた通りに動けばよいのではなく、自分達が何をできるか、自分達の店舗をどう変えていくのかといった点、つまり、FKの自発性、自主性を大事にしていきたいと紫関氏は語る。

業績が下降していたFKが、ウェンディーズとの合併により救われたというよりも、むしろウェンディーズのブランドを活用し、FKがいかにして自社の強みを磨き上げていくかというのが焦点となる今回のコラボビジネス。店舗数135店のFKだけに、巨大ファーストフードチェーンと規模で勝負するのは難しいが、この規模でありつつ、世界的なチェーンを持つウェンディーズと組んだことは、独特の仕掛けを可能にする。今回の合併により、FKの新しいステージが幕を開けたのだ。