外食に対する支出は増加の見通し

2017年4月6日に内閣府が発表した「消費動向調査」によると、3月の消費者態度指数(暮らし向きや収入の増え方に関する調査結果)は、前月比で0.7ポイント上昇の43.9%であった。また、2017年4~6月期の「サービス等の支出予定」のうち、「レストラン等外食費」の項目を見ると、「今より増やす予定と回答した世帯割合」から「今より減らす予定と回答した世帯割合」を控除した数値で、前年同期がマイナス20%だったところ今期は同17.4%と少しだが上昇した。つまり、レストランなどでの外食に対する支出意欲は上向いているのだ。

「安くなければ売れない」デフレ期を脱却し、価格相応の価値を持つ商品であれば売れる時代に入りつつあるのが今の状況だとすれば、生き残る権利を手にすることができるのは、価格に見合った価値を持ち、消費者に理解され、支持される商品だけということになる。マックが8年ぶりに発表したビーフの新商品グランは、果たして価格相応の価値を消費者に認めさせ、見事に看板商品の座を射止めることができるだろうか。

グランは看板商品に育つか

また、グランの販売推移は、同業他社にとっても気になる指標になることだろう。低価格が当たり前のハンバーガー業態にあって、グルメバーガー勢ではなく、低価格路線の王道を歩んできたマックが価格を上げようとする試みが、消費者にどのように受け止められるのか。マックが行う定番商品の拡充は、他社にとっては気がかりでもあり、大いなる「脅威」となる可能性も秘めている。

先週末の新聞にはグランのクーポンが折り込み広告として挟まれていたが、グラン「クラブハウス」単品で20円引きの470円、セットで50円引きの740円という割引き価格は、試しに1度は行ってみようという気にさせる程度の効果はあったと思う。客足が戻ったタイミングで、ビッグマックより上位の価格帯に属する新商品を発表したマック。業績を戻しつつある同社にとって、客単価向上の成否は完全復活の可能性を考える上での重要な材料となる。