2017年4月1日付で、NTTソフトウェアとNTTアイティ、NTTアドバンステクノロジの音響・映像に関する事業を統合し、新会社「NTTテクノクロス株式会社」が誕生したが、4月12日には、新社長の串間和彦氏による事業戦略説明会が行われた。

NTTテクノクロスは3社の事業を統合

NTTテクノクロス 代表取締役社長 串間和彦氏は、3社を統合した背景について、「2020年に向け、自動運転、高臨場映像配信、医療、農業などの分野で、AI、ビッグデータ、IoTといった最新のICTを用いた社会変革がめざしい勢いで起ころうとしている。これにより、これまでICTが関わってこなかった分野にも大きな変革が起ころうとしている。そんな中、3社を統合することによって、映像や音声のメディア処理、AI等の技術による高付加価値サービスを提供できる。これからのICTに求められているのは、単に業務効率化だけでなく、最先端の技術を使って新しい価値を創造することだ。今後は、NTT持株会社が持っている世界最先端の技術を活かした製品を積極的に市場に出し、そこでのフィードバックを研究所に返し、研究所にとってもなくてはならない存在になっていきたい」と語った。

NTTテクノクロス 代表取締役社長 串間和彦氏。串間氏はNTTソフトウェアにて取締役、常務取締役、代表取締役常務を歴任し、おもにビジネス創出や一般市場開拓系事業を担当した

なお、社名のテクノクロスには最先端の技術を掛け合わせることで、新しい分野・領域に対してもサービスを提供するという意味が隠されているという。

新会社では、「研究所技術の活用」「3社統合を契機とした新たなシナジー」「新ソリューション創出」の3つを事業の柱に据えるという。

「研究所技術の活用」では、研究所から研究技術を活かした試作を受注し、それを市場展開し、結果を研究所にフィードバックする。

「研究所技術の活用」

同社の中期計画では、2017年度は売上高425億円を目標にしているが、このうち240億円をNTTグループによる売上を想定、そして、この中の80億円程度を研究所から受注することを見込んでいる(なお、数字は連結)。

串間氏は、研究所の技術活用したソリューションとして、コンタクトセンターソリューション「ForeSight Voice Mining」を挙げた。このソリューションでは、研究所の音声認識技術を使って顧客からの音声をテキスト化、FAQのDBを自動検索して、回答候補を表示する。

「ForeSight Voice Mining」

「3社統合を契機とした新たなシナジー」では、それぞれの会社の技術を掛け合わせ、新たな価値を提供するという。例えば、旧NTT ITの動画やラベル、看板等に埋め込まれている電子透かしを読み取る「MagicFinder」と、NTT ATの「パノラマ超エンジン」を組合わせ、360度映像を手元のスマートフォンで視聴するサービスを提供する。

「3社統合を契機とした新たなシナジー」の例

串間氏によれば、2020年度に3社の統合シナジー効果による売上を20億円程度見込んでいるという。

また、統合によるコスト効果としては、重複人員の削減やバックヤードシステムの見直しによって、数億円のコスト圧縮が見込めるという。

そして、「新ソリューションの創出」では、研究所技術を活用した新規ソリューションを創出する。

「新ソリューションの創出」では、製品を「新規・仕込み期」、売上げ1億円程度の「立ち上げ期」、売上数億円程度の「拡大期」、継続的な売上が期待できる「成熟期」の4つのフェーズに分け、管理していくという。

「新ソリューションの創出」の4つのフェーズ

4つのフェーズで管理するメリットとしては、会社として、その製品が現在どのフェーズにあるのかをきちんと認識することや、うまくいかないビジネスに対して、見切りをつけるタイミイングを与えること(3年で1億程度の売上が得られるかどうか)、その製品が次のフェーズにいくためには、どういったものを提供すべきかを社員が考え製品をブラッシュアップする機会を与えるというメリットがあるという。

そして、同社は2017年度には連結で売上425億円、営業利益12億円、2020年度には売上高500億円、営業利益22億円を見込む。また、2020年度以降は、NTTグループ以外の売上比率を半分以上にしていくという。

中期経営計画

そのため、従来の代理店販売に加え、OEMや業務提携によるイコールパートナーとなるアライアンス作りを推進し、広い戦略共有や共同でのソリューション作りを行っていくという。

イコールパートナーの拡大