今クールも連続ドラマが続々とスタートしている。従来のリアルタイム視聴率に加え、録画視聴率、SNSでの拡散数など、さまざま指標でドラマ作品が評価されるようになってきた中で、データニュース社が運営する視聴状況調査「テレビウォッチャー」では"満足度"を集計。この膨大なデータを日々分析する研究員が、脚本家や監督が過去に手掛けた作品の"満足度"に焦点を当てながら、注目の春ドラマを紹介していく。

●「テレビウォッチャー」満足度調査概要
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1,200+女性1,200=計2,400 ※回収数は毎日変動
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準

個性派・松山博昭監督が描く『人は見た目が100パーセント』

『人は見た目が100パーセント』(左から)水川あさみ、桐谷美玲、ブルゾンちえみ、主題歌を歌うJY

まず最注目作品は、フジテレビ系『人は見た目が100パーセント』(きょう13日スタート、毎週木曜22:00~)。ラブコメで、女子力低めの主人公で、主演が桐谷美玲と来たら、既視感たっぷりの恋愛ドラマになりそうだが、主要キャストのブルゾンちえみだけでなく、監督の松山博昭氏もかなりの個性派なので、これまで見たことのない新しいラブコメに仕上がりそう。

松山監督の特徴は『ライアーゲーム』(07年、09年)、『鍵のかかった部屋』(12年)、『失恋ショコラティエ』(14年)など、カラフルな画面とド派手なBGMで作り上げる独創的な世界観。直近作『信長協奏曲』(15年)では、"月9"初の時代劇というチャレンジで、満足度3.89度の高数値を記録、昨年公開の映画版も大ヒットした。

また、今作のサード監督(通常テレビドラマは2~3人が交代で監督を務める)には、『東京ラブストーリー』(91年)、『ロングバケーション』(96年)、『ラブジェネレーション』(97年)など、往年の大ヒットラブストーリーを手掛けた巨匠・永山耕三監督が控えていることにも注目。"個性派"と"巨匠"で、それぞれどんな演出の違いが見られるのかが楽しみだ。

そして脚本は、深津絵里主演の名作『恋ノチカラ』(02年)が代表作の相沢友子氏。この"木10"枠では、それ以来のラブコメ作品とあって、さらに期待が高まる。

満足度的に"間違いない"のは『リバース』

『リバース』(左から)藤原竜也、原作の湊かなえ氏、戸田恵梨香

藤原竜也主演のTBS系『リバース』(14日スタート、毎週金曜22:00~)は、『夜行観覧車』(13年)、『Nのために』(14年)と同じ、湊かなえ原作×奥寺佐渡子脚本×塚原あゆ子監督のチームで制作。満足度は、『夜行観覧車』が3.94、『Nのために』が4.02といずれも高数値を獲得しており、特に『Nのために』は、ドラマ流のアレンジが原作以上の面白さだと評判だった。今作も、多くの視聴者を満足させてくれるに違いない。

また、それらが高満足度作品となった要因は、力のある原作と、それを巧みにまとめた脚本だったのはもちろん、塚原監督の功績によるものも大きい。昨年は『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』『重版出来!』『砂の塔~知りすぎた隣人』(『重版出来!』以外はメイン演出)と話題作を次々担当し、満足度もそれぞれ3.88、3.93、3.87と高数値を軒並み獲得。スピーディで飽きさせない演出と、美しい映像が特徴の監督だ。

これまでは女性が主人公のドラマが多かったが、今作は男性が主人公であり、塚原監督がどう描くのかも楽しみだ。