大谷大学は4月12日、「ビジネスパーソンの"読む力・書く力"に関する調査」の結果を発表した。調査は3月9日~10日、20歳~39歳で大学卒(短大卒を含む)・大学院卒のビジネスパーソン1,000名を対象にインターネットで行われた。

業務上の文章作成、多いのは「ビジネスメール」

業務上、作成に携わる文章について聞いたところ、「ビジネスメール」が68.7%で最多に。次いで、「業務依頼・指導関連」(34.8%)や「会議関連」(32.8%)が3割台、「プレゼン関連」(26.3%)、「組織内配布・掲示物」(25.3%)、「契約関連」(21.7%)が続いた。

「業務上、作成に携わる文章」

業務上、作成に携わることのある文章について、文章作成に習熟しているものを聞いたところ、習熟率が最も高かったのは「ビジネスメール」で56.9%。習熟率が比較的低くなった文章に注目すると、「交渉関連」は39.9%、「契約関連」は39.6%、「社交・儀礼関連」は34.8%となった。

「文章作成に習熟しているもの」

管理職は書く仕事が多く、読み書きが得意な割合も高い

1日あたりの文章を書いている時間を聞いたところ、「0分」は18.8%、「30分未満(1~29分)」は25.2%、「1時間未満(30~59分)」は18.9%、「1時間台」は20.4%、「2時間台」は8.2%、「3時間以上」は8.5%で、平均時間は53.0分だった。出身大学の系統別に平均時間をみると、文系は51.8分、理系は53.9分、その他系統は58.0分となっている。

また、役職別に平均時間をみると、役職のない人は51.6分、主任・リーダーは55.0分、管理職(課長以上)は81.9分(=1時間21.9分)。役職につくようになると、書く仕事に携わる時間が増えているようだ。

読む力と書く力の自己評価を聞いてタイプ分けすると、「読み書きが(両方とも)得意な人」は24.7%、「読み書きが(両方とも)苦手な人」は12.7%となり、「読むのは得意だが書くのは苦手な人」(3.4%)や、「書くのは得意だが読むのは苦手な人」(0.4%)よりも構成比が大きくなった。読む力と書く力が両方とも満点(=読み書きマスター)の割合は6.6%と、およそ15人に1人の割合だった。

役職別に読み書きマスターの割合をみると、役職のない人は5.0%、主任・リーダーは7.6%、管理職(課長以上)は12.2%となり、役職が上がるほど読み書きマスターの割合は高い。

「読み書きマスターの割合」

読む力・書く力は"社会人として必要な力"上位に

全回答者に、社会の一員として生きていくうえで必要な力だと思うものを聞いたところ、「話す力」が64.8%で最も高く、次いで、2位は「考える力」(60.1%)、3位は「聞く力」(55.9%)、4位は「読む力」(50.2%)、5位は「書く力」(45.7%)となった。

「社会の一員として生きていくうえで必要な力だと思うもの」

就業期間が3年未満の新人(172名)に、新社会人に不足していると思う基礎力だと思うものを聞いたところ、1位「話す力」(37.8%)、2位「考える力」(31.4%)、3位「書く力」(21.5%)、4位「聞く力」(20.9%)、5位「読む力」(15.7%)に。管理職(49名)に、マネジメント能力向上に必要な基礎力だと思うものを聞いたところ、1位「目標設定力・計画力」(38.8%)、2位「考える力」(36.7%)、3位「自己決定力 (判断力・行動力)」(32.7%)、4位「聞く力」(30.6%)、5位「協働力 (協調性)」(26.5%)となった。「読む力」や「書く力」は同率(ともに14.3%)で10位にランクインした。

読む力・書く力を学びたいのは村上春樹、糸井重里、三谷幸喜

「読む力・書く力を学びたいと思う文芸人」

全回答者に、読む力・書く力を学びたいと思う文芸人を自由回答で聞いたところ、小説家部門での1位は、7年ぶりに新作小説が発売されたことで話題になった「村上春樹さん」(93人)、2位は芥川賞の受賞で作家としての活動でも注目を浴びたお笑い芸人の「又吉直樹さん」(65人)、3位は「東野圭吾さん」(56人)となった。

ライター部門では、代表をつとめる会社の株式上場でも話題を呼んだコピーライターの「糸井重里さん」(74人)が1位に、2位は鋭い取材とわかりやすい解説が人気のフリージャーナリスト「池上彰さん」(54人)、3位は「鳥越俊太郎さん」(7人)となった。

脚本家部門では、昨年の大河ドラマの脚本を手がけた「三谷幸喜さん」(60人)が1位に、僅差の2位は、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した「宮藤官九郎さん」(59人)、3位は「鈴木おさむさん」(18人)だった。