凸版印刷とシステムコンサルタント(KSC)は4月7日、公的個人認証サービスにおける総務大臣認定の取得を受け、マイナンバーカードによる公的個人認証サービスを利用する契約電子化サービス「Speed Entry Trust」(スピードエントリー・トラスト)の提供を開始すると発表した。想定価格は、初期導入費が500万円から、月額運用費が50万円から。両社は2017年度に、関連受注も含め3億円の売上を目指す。

サービス全体のイメージ

新サービスは、公的個人認証サービスを利用したオンラインでの本人確認と電子署名により、契約書類の授受や実印の押印、印紙の貼付が必要だった従来の契約プロセスを電子化し、契約手続きのペーパーレス化・印鑑レス化が可能。公的個人認証サービスにおける総務大臣認定を取得したデータセンターで運用する、電子署名法、および電子帳簿保存法に準じた電子契約サービスとしている。

今回、電子契約基盤の開発と電子契約サービスの導入コンサルティングの領域で実績があるKSCと、金融機関向け業務システムの開発およびハイセキュア・データセンターの運営を行う凸版印刷が、両社の資産とノウハウを統合することで、マイナンバーカードによる公的個人認証サービスを利用する契約プロセスの電子化を支援するクラウドサービスを開発した。

新サービスは、金融機関の住宅ローン申込手続における金銭消費貸借契約の電子化を対象とするサービスでの利用から開始する。同サービスでは、利用客のマイナンバーカードを、店頭または利用客のPCに接続したICカードリーダーにかざすことで、金融機関など対象企業がアップロードした電子ファイルによる契約書に対し、利用客が電子署名を行う。

その後、電子署名の有効性を公的個人認証結果の照合により確認し、結果を対象企業に連携し、契約の締結を完了させる。電子署名付き契約書は、凸版のデータセンターにおいて所定の期間保存し、対象企業は継続的に契約情報と証跡の管理が可能。

今後、マイナンバーカードに記録した電子証明書の読み取りに対応するNFCスマートフォンの普及に合わせて、同サービスもスマートフォンへの対応を検討していく。さらに、凸版印刷は自社で提供する住宅ローン事前審査一括申込サービス「Smart Entry Tab」の参加金融機関を中心に、住宅ローン契約を対象とするSpeed Entry Trustの販売を強化する。

また、凸版とKSCは、同サービスの汎用機能を拡充することで、住宅ローン以外の各種金融サービスにおける本人確認業務や契約手続への展開を始め、チケットレス・サービスや不動産売買契約における電子化支援サービスなどの検討を進めていく方針だ。