シーメンスの事業部であるMentor, a Siemens business(メンター)は4月5日、SAEレベル5の完全自動運転の実現に向けた研究開発を支援する包括的なソリューションプラットフォーム「DRS(Data RAW Sensing)360」を発表した。

DRS360は、車体に搭載された自動運転向けの各種センサのデータを、エッジノードで処理しないで、生データ(RAW)データのまま送信し、3段階のプロセッサ処理を行うことで、システムの複雑性の低減とプロセッサ処理で生じるレイテンシの削減を実現しようというもの。第1世代となる今回の1段目は、16nm FF+プロセスを採用したXilinxの「Zynq UltraScale+ MPSoC」を用いたもので、各センサとZynqを接続。ここでセンサから送られてくるRAWデータの処理を実施。その処理結果を2段目のSoCに送ってやることで、SoCがどのように自動運転やADAS機能を実行すべきか判断。その判断を機能を担当するマイコンに送信し、実際の動きを実行する、といった仕組みを採用しており、これにより同社ではレベル5におけるトータルのデータ処理量に対し、100W以下で対応することが可能になるシステムを構築できるようになるとしている。

エッジノードでのデータ加工処理は行わず、RAWデータをセンターシステムに送り、そこで3段階のプロセッサ処理を行うことで、レイテンシやシステムの複雑性を減らす「Centralized Raw Data Fusion」の概念図

ちなみに、SoCとマイコンについては、Tier1やOEM(自動車メーカー)の要望に併せたものとなるとのこと。前提としては、大手半導体ベンダのSoCやマイコンになる模様で、近いうちに特定パートナーのSoCならびにマイコンに関するアナウンスができる予定としている。

また、DRS360は、ISO 26262 ASIL D準拠システムの実装に求められる安全、コスト、電力、温度、排気要件を量産環境で適用できることを目指して設計されたものであると同社では説明している。

なお、提供形態としては半導体デバイスが搭載されているハードウェア(開発ボード)+各種ソフトウェア+各種IPとなるが、組み合わせはカスタマのニーズによりけりとしており、より分かりやすいソリューションとなることを目指し、2017年下期中に、実際に同ソリューションを搭載した自動車の公開を行う予定だという。