お笑いタレントの明石家さんまがMCを務めるフジテレビ系バラエティ番組『ホンマでっか!?TV』(毎週水曜21:00~21:54)が、ここのところ堅調だ。視聴率は今年に入って6回連続で2ケタをキープし、苦戦する同局にあって、再びバラエティをけん引する存在となっている。

この復調の要因は何か。今後の展望を含め、演出を担当するフジテレビ第二制作センターの鈴木善貴氏に話を聞いた――。


テーマ設定をより絞るように

鈴木善貴
1980年11月20日生まれ、岐阜県出身。同志社大学経済学部卒業後、フジテレビジョンに入社。『トリビアの泉』『笑う犬の太陽』などでADを務め、現在は『ホンマでっか!?TV』のほか、『アウト×デラックス』『さんまのお笑い向上委員会』を担当。

さんまと、強烈なキャラクターを発揮する評論家軍団たちによる丁々発止のトークが見どころの同番組。2010年から現在のゴールデンタイムで放送され、長年にわたって定着してきた。その人気を支えるのは、評論家軍団が提供する「ホンマでっか!?」な情報から展開される、レギュラートークだ。

鈴木氏は「さんまさん、ブラックマヨネーズさん、マツコ・デラックスさん、磯野貴理子さん、島崎和歌子さん、それに評論家の先生方本当に全員が面白くて、視聴者の皆さんに見ていただいていたと思うんですけど、一時期2ケタ数字が思うように取れなくなり、『メール診断』など手を変え品を変え、新しいコーナーを入れていたんです」と振り返る。

しかし、ここにきて、再びレギュラートークの数字が上昇。鈴木氏は「やっぱり、先生方の言うことを何も考えずに聞けて、一番見やすいんです」と、その背景を分析する。ただ、最近ではそのテーマ選定に、工夫を凝らすようになったそう。「以前は『最新ダイエット事情』とタイトル付けしていたものを、『太る人・太らない人』という感じに、テーマをより絞るようにしたんです」と打ち明ける。

それに加え、多くの視聴者になじみのあるテーマ設定を心がけることも再確認。例を挙げると、「運は本当にあるのか」「誕生日で人生は変わるのか」「血液型で人生は変わるのか」といった内容を決めるのに、以前より1.5倍~2倍くらいの時間をかけるようにしたそうだ。このような、一見非科学的なテーマでも、評論家軍団がさまざまな角度から科学的に解説することができるため、番組が成立していると言える。

愛すべき評論家軍団

そんな評論家軍団たちは、あまりに個性的なキャラクターがそろっているため、さんまの格好の"餌食"に。「好かれる人・嫌われる人」というテーマで放送した際、心理学の植木理恵氏から「人間は多少"ほころび"がないと、嫌われてしまう」という情報を聞いたさんまが「確かに評論家の先生"ほころび"だらけですもんね。だから俺は好きやねん」と言ったほどだ。

鈴木氏は、愛すべき"アウト人"を紹介するバラエティ番組『アウト×デラックス』(毎週木曜23:00~23:30)も担当しているが、「『ホンマでっか!?TV』がなかったら、先生方は全員『アウト×デラックスに出られると思います(笑)」と、そのキャラクター性を絶賛。

だが、難しいことを分かりやすく解説する能力に感服しており、友人や家族に評論家軍団たちについて聞かれると「一言『天才』としか言わないです」と答えるそう。番組の性質上、どうしてもキャラがクローズアップされがちなところを、スペシャルなどで評論家たちの普段の側面を紹介するVTRを放送することで、「先生たちのすごさを少しでも伝えられたら」と、リスペクトの姿勢を忘れない。