米国ラスベガスで3月21日からの3日間開催された、デジタルマーケティングのイベント、「Adobe Summit」で、インタビューを行った、AdobeでPrimetimeのプロダクトマネジメントを担当するディレクター、キャンベル・フォスター氏から、意外な言葉が漏れた。

「Appleが仮想現実(VR)ではなく、拡張現実(AR)に集中をしている点が非常に大きな関心事で、VRにとっての懸念である」とフォスター氏は言う。AppleがARにフォーカスする現状を、どうして懸念しているのだろうか。

AdobeでPrimetime

Adobe Primetimeとは、番組の制作と配信を複数のデバイスに対して行うことができる動画配信プラットホームで、米国では全米ネットワークであるNBCや、ケーブルテレビ会社大手のComcastが導入している。今回のAdobe SummitのテーマでもあるAdobe Analytics Cloudと連携し、どのデバイスで見ても、視聴者を分析し、興味や広告価値などを評価することができる仕組みを提供する。これとAdobe Advertising Cloudを組み合わせることで、例えばAさんとBさんで同じ番組を見ていても、広告は趣向データで異なるものが差し込まれる、という風に、収益化の手段において、より高い効果が狙えるようになるというわけだ。

番組制作のワークフローにも組み込まれており、通常のビデオだけでなく、VRコンテンツの配信や、VRコンテンツに対する広告の挿入なども、フォスター氏が担当している領域だとのこと。

Adobeの研究開発部門では、After EffectsをVRコンテンツ編集に使う際、広告枠を設定することで、VRコンテンツを視聴する人のプロファイルに合わせた画像・動画の広告を、ダイナミックに表示することも可能としたようで、そのデモも披露された。デモで用いられていたのは、Windowsマシンと「Oculus Rift」だった。

Adobeは、VRに限らず、あらゆる映像やコンテンツについて、視聴者を理解し、パーソナライズして、正しいタイミングで、正しい情報や広告を、正しい手段で届ける環境を整備している。そのため、当然ながら、ARも、Adobeは体験作りやそれに対する広告等のアプローチの場としてとらえているはずだ。