自動運転技術の進化にも“間接的に”役立つ協業

トヨタはDCM(車載専用通信機)を用いたコネクティッドカーの実用化に早くから着手している。代表的な車種は「レクサス」や「プリウスPHV」などだ。この通信にはKDDIのLTE回線を使っている。

プリウスPHVはトヨタがコネクティッドの先陣と位置づけるクルマ。音声対話サービスの「エージェント」など、ネットとつながることで何が可能になったかは以前お伝えした通りだ。

コネクティッドの先陣を切るクルマ「プリウスPHV」

DCMの回線が5Gになれば、当然ながら通信容量は拡大するし、できることも増えるのだろう。それを見据えた今回の協業だと思ったのだが、トヨタがauからdocomo、ではなくKDDIからNTTに乗り換えた、という単純な話でもなさそうだ。

5Gは2020年頃の実用化を目指す中長期的な開発を必要とする技術であり、トヨタは「基盤の技術」(同社広報)を研究・開発するためにNTTと協力するとのこと。すでに実用的な部分で協業しているKDDIとは、あくまで関係性が違うということらしい。もっとも、KDDIも5Gの導入に向けた取り組みは進めているので、両社の住み分けがうまくいくかどうかについては今後の展開を見守るしかない。

コネクティッドカー分野におけるトヨタとNTTの協業で、対象分野に「AI」の文字が見えるところから考えて、両社は自動運転も視野に入れて協業に合意したのだと予想したのだが、トヨタ広報によれば、今回の協業で自動運転は対象に入れていないとのこと。ただし、ビッグデータ、通信技術、AIといった要素は自動運転と密接に関わるものなので、今回の協業が自動運転技術に「間接的に」役立つことはあり得ると含みを持たせた。

両社を核とする企業連携は進むか

これから検討するとのことで、具体的な将来像については不明な点の多い今回の協業だが、トヨタとNTTが手を組むという事実が与えるインパクトは大きい。トヨタは以前から、あらゆる異業種・IT企業と連携し、“つながるクルマ”のプラットフォームを構築したいと言っているが、将来のプラットフォーマー化に向け、国内の協業相手としてNTTは申し分のない存在といえるだろう。

トヨタが2016年11月の「コネクティッド戦略発表会」で用いたスライド。コネクティッドカー分野でプラットフォーマーを目指す方針を示している

「(この協業は)排他的なものではない」とトヨタ広報も話していたが、両社を核とする企業連携が進めば、業種を超えた合従連衡が進む自動車業界でも、このグループがひときわ目立つ存在になることは間違いない。