その結果、新製品「PD-1000S」シリーズでは、スマートフォンの写真を素早く取り込めるIEEE802.11acへの対応、ネットワーク初期設定の簡易化、スマートフォンでおもいでばこ体験がしっかりできるチュートリアルの搭載、障害時にデータ修復を試みるディスクリカバリーといった機能が追加された。Bluetoothオーディオにも対応。液晶ディスプレイとスピーカーを用意すればサイネージのような使い方も可能になった。

新機種ではWi-Fi設定を簡易化

外でおもいでばこの写真が見られる「グリップ機能」

また、「おもいでばこは働くママのことを考えていない」という厳しい声がきっかけとなって、家の外でおもいでばこ体験が可能となる「クリップ機能」も開発した。おもいでばこに保存しているお気に入りの写真を、スマートフォンやタブレットの「おもいでばこアプリ」にまとめて圧縮保存し、外出先でも見られる機能だ。

これにより、親戚や友人に、撮りためた家族の写真をより気軽に見せられる。従来、田舎の祖父母に見せるためにおもいでばこごと実家に持ち込んでいたという人も、クリップするだけで本体を持ち運ぶ必要がなくなった。このクリップ機能は、開発担当の根本氏によると「今回の開発でもっとも苦労したポイント」だと言う。

クリップ機能は写真のデータサイズを、写真がきれいに見られる状態のままで約10分の1に圧縮

ちなみにこれらの機能は新製品だけでなく、従来機の「PD-1000」シリーズなどでも、ファームウェアのアップデートで利用可能になっている。このため、従来機のユーザーが急いで買い替える必要はない。とはいえ、新機種はソフトウェアのバグも少なく、根本氏は「かなり完成度の高い製品」と胸を張る。

発表会の内容はすぐ横のホワイトボードに、グラフィックレコーダーのタムカイ氏がリアルタイムで描き起こした

思い出話で盛り上がるとき

最後のファン感謝祭は、プレイベントにも登場したむねさだ氏の音頭による乾杯から始まり、新機能セミナー、プレゼンテーション、ライトニングトーク、おもいでばこBGMの生ライブと盛りだくさんの内容が続いた。この感謝祭も写真や動画を見ながら「思い出話」にする日が来るのだろう。

思い出話で場が盛り上がるとき、そこに新しい情報は何もない。前にも聞いた、前にも話した、同じ言葉の応酬、同じ記憶の確かめ合いだ。それなのに皆が笑顔になって話が弾む。これが「思い出話の醍醐味」だと思う。

そんな思い出話の醍醐味を視覚的にフォローできる道具として、おもいでばこはしっかり活躍できるに違いない。今回のイベントを通じてそんな思いに浸った。

最後に、おもいでばこのコンセプトムービーを紹介しておきたい(該当動画のリンク)。これは2年前の「PD-1000」シリーズの発表時に公開されたものだが、まったく色褪せることなく、写真の生みだす感動の力を伝えてくれる。特に涙もろいユーザーは、一人でこっそり見るように注意してほしい。