避けて通れない二輪車の電動化

2016年10月に、国内の50cc原付スクーター事業でヤマハ発動機との業務提携を検討すると発表したホンダ。電動アシスト自転車や軽自動車に押され、原付スクーターの市場が縮小するなかで、老舗が提携に向けて動き始めたことは話題となった。

業務提携の検討項目には、「日本市場における原付一種クラスを中心とした電動二輪車の普及」を目的に、航続距離、充電時間、性能、コストといった「課題の解決を目指した基盤づくりの協業」が入っている。両社は電動バイクの普及でも協力していく方針なのだ。環境対策の観点からも、二輪車の電動化は避けて通れない道だ。

電動バイクを普及させるうえで課題は様々あるが、なかでも大きいのが充電インフラの普及だ。電気自動車と比べれば、電動スクーターの行動範囲は狭いものと想像できるが、バッテリーの容量が小さいので、その航続距離も限定的だ。家庭以外でほとんど充電できないとすれば、電動スクーターの使い勝手には問題があるといわざるを得ない。

電動バイク普及に追い風となる郵便局の存在

日本郵政とホンダの協業で注目したいのは、郵便局で充電ステーションの実証事件を行うとしていることだ。簡易郵便局を合わせると、全国に約2万4,000局あるという郵便局。全部は無理でも、その大部分を充電ステーションとして使えるようになれば、電動バイクの使い勝手は格段に上がる。

充電ステーションは交換用のバッテリーを置く形にするのか、あるいは充電設備を備えるものにするのか。まだ両社は決めていないそうだが、日本郵便の代表取締役副社長を務める福田聖輝氏が、ステーションを「人々が集まる場所」にしたいと語ったところから想像すると、郵便局の充電設備は、様々な目的で誰もが使えるものになる可能性があるようだ。両社の協業が“社会インフラ整備”を名目としていることも、これなら納得できる。

郵便配達用の車両は現在も全てホンダ製

クルマ同様、バイク業界にとっても電動化は避けられない命題だ。ネックとなるのは充電インフラ整備の問題だが、郵便局を使えば一気に課題を解決できる可能性がある。実証実験の成否はホンダのバイク事業にも影響を与えそうだ。