米ウェイン州立大学 小児科神経科の浅野英司 終身教授と、和歌山県立医科大学 脳神経外科の中井康雄 医師らの研究グループは3月16日(米国時間)、言語に関する四次元脳機能マッピングに関する論文が英国神経学雑誌「Brain」に掲載されたと発表した。

脳マッピングの手法は1937年にペンフィールドらが、脳表を直接刺激した患者のデータをまとめ、紙の上に平面的(2次元)に描いたことから始まったという。その後、MRIを用いた3次元脳機能マッピングが1990年代に登場したが、脳の特定部位がどのタイミングで活性化するかについては、数秒ごとでしか描出できない、という課題があった。

今回、研究グループは、術前診断を目的に、てんかん患者100症例に対し、脳表に電極を留置することで、頭蓋内脳波として脳神経活動を100分の1秒ごと、1cm以下の間隔で実施。患者が質問を聞いて答えるという課題の最中に、脳表面のどの部位が、どのタイミングで活性化しているかを測定したという。

その結果、3次元空間に時間軸を加えた、4次元の包括的脳機能地図を作成することが可能であることを確認したという。

今回の結果に対し、研究グループでは、脳神経外科手術における言語機能部位の特定に役立つのみならず、医学教育や言語機能の解明などへの活用なども期待されるとコメントしている。

4次元マッピングのイメージ (提供:ウェイン州立大学/和歌山県立医科大学)