内田真礼

声優として数々のアニメに出演し、アーティストとしても活躍する内田真礼が、2ndワンマンライブ「Smiling Sprial」を、2017年2月25日(土)と26日(日)の2日間、国立代々木競技場 第一体育館にて開催した。

2ndライブ「Smiling Spiral」は、1月にリリースされたミニアルバム『Drive-in Theater』をベースにしたものだが、随所に「ドライブ」「和」「野球」といった、内田の好きなモノ・興味あるモノが散りばめられた構成。真っ赤なアメ車に乗り込んだ内田真礼の登場で、ステージの幕が開いた。

オープニングナンバーは「Shiny drive, Moony dive」。アメリカンレトロのガーリーな衣装を着た内田が、笑顔全開で歌う姿に、白いペンライトで染め上がった会場のテンションも一気に盛り上がる。

2014年4月にアーティスト活動を始動し、昨年2月28日に1stライブを中野サンプラザで開催。まさにトントン拍子ともいえる今回の2ndライブだが、ライブの話を聞いた際、「喜びの前に不安があった」と内田自身が語るとおり、決して低いハードルではなかった。会場のキャパが大幅にアップしただけでなく、初の2daysライブ……。しかし、そんな不安な内面は微塵も感じさせず、「今日はみんなと楽しんでいくよー!」と最高の笑顔で会場に呼びかける。自らが最高に楽しむことで、会場全体を最高の笑顔に変える。初日公演こそやや緊張が見られたものの、2日目は観客とコール&レスポンスを楽しむ余裕を見せた。

真っ赤なアメ車に乗り込んで登場

明るくアメリカンなステージが一気に闇に染まる。「Resonant Heart」から始まるロックフェーズでは、内田が内面に秘めるクールさ、そして激しさが一気に爆発する。今回の会場は、メインステージから客席中央にのびる花道、そしてサブステージが設置されており、ダンサーとともに、休む間もなく駆け巡る。「North Child」(2日目は「Distorted World」)では、トロッコに乗り込んで客席を一周。より近い距離で、内田と観客は互いの熱さを感じ合う。

ステージを闇に染める

トロッコで場内を巡る

デビュー曲である「創傷イノセンス」まで一気に歌いきったところで、ダンサーTIMEに突入。20人のダンサーがステージ上で激しいダンスを繰り広げる。そんな中、会場中央のサブステージに姿を現す内田。花の刺繍が施された白いワンピースに身を包んだ内田に降り注ぐ桜の花びら。桜吹雪に包まれながら「moment」を歌い上げると、激しさから一変、落ち着いた癒しの時間が訪れる。さらに2日目のステージでは、「Life is like a sunny day」をアコースティックバージョンで披露。アコースティックギターの調べに導かれ、ハイチェアに腰掛けながらしっとりと歌い上げる内田の姿に会場の視線も釘付けとなる。

桜吹雪がステージに舞い散る

2日目のステージではアコースティックバージョンを披露

目まぐるしく転換する演出も今回のライブでは大きな見どころとなっており、内田の持つさまざまなカラーが惜しげもなく繰り広げられていく。そして、次なるテーマは「和」。和太鼓の激しいバチさばき、グラフィック・ポイを持ったダンサーによる演舞。ライブの新たなる展開に、いやがうえにも期待が高まる。

そんな中、和風のちょっと歌舞いた衣装に身を包んだ内田が、芸者ダンサーを従えてステージに登場。"お祭り"タイムがスタートする。「モラトリアムダンスフロア」「からっぽカプセル」と続くとびきり明るいナンバーに、会場のコールもひときわ大きくなる。それに応戦するかのように、バチを手に大太鼓に挑む内田。最初は紅白のバチ、二度目はバット型のバチ。細かな演出も憎らしい。

和風の衣装にチェンジ

バチの違いに注目!?

そして、祭りの最高潮は、火柱の立ち上がるステージでの「クロスファイア」。ダンサーたちがタオルを回しながらステージを盛り上げると、会場のコールもさらにヒートアップ。途中、バットやハンディキャノンでボールを客席に打ち込むなど、近づく終焉に向けて、ライブはさらなる山場を迎えていく。

ボールを客席に

2ndライブは、1stライブ同様、生バンドによる演奏。今回も「Maaya Band」(Bass/Band Master:黒須克彦、Guitar:山本陽介、Keyboards:今井隼、Drums:村田一弘、Manipulator:大串友紀)のメンバーが揃い、ステージを支える。キャラソンインストメドレーでは、「ギリギリ最強あいまいみー」「Delta Decision」「Across the line」といった内田の関わるキャラソンが、Maaya Bandによって激しいロックに昇華される。これぞ生バンドならではの醍醐味でもあり、内田がいないステージでも観客を魅了し続ける。

Maaya Bandも会場を魅了

「ラストスパート!はじめます!」。内田の叫びが、最後の盛り上がりを加速する。今回のライブ演出で特徴的だったのはグラフィック・ポイの使用。ジャグリングアイテムとして有名なポイに電飾を仕込んだアイテムで、ポイを回すと、事前にプログラミングされた絵柄や文字が浮き上がって見える。このラストスパートでは、グラフィック・ポイを持ったダンサーがステージ上を駆け巡り、観客の目を引きつける。そんな派手な演出にも負けない内田のパワフルなステージパフォーマンスの中、ライブタイトルにもなっている「Smiling Spiral」で、ライブ本編を締めくくった。

ラストスパート!

アンコールは「わたしのステージ」で幕を開く。1stライブにおける「わたしのステージ」では、ステージ上のモニターに、内田のソロデビューからの軌跡が映し出された。しかし、今回のライブでは当日のリハーサルやライブの模様をスライドショーで展開。まさにリアルタイムを振り返るという驚きの演出だが、"過去"を振り返って『今』を見据えた1stライブに対し、"現在"のありのままの姿を映し出して『今』を感じさせた2ndライブ。「わたしのステージ」は内田自身が作詞を手掛けた楽曲であり、飾らない素直な気持ちが綴られた楽曲である。「君と描く『今』を生きいる」。歌詞の中の『今』が現在進行形で変化しているのだ。

Tシャツ姿でアンコール

"過去"、そして"現在"となると、次なる"未来"はどうなるのか? その一端が垣間見られる新たな展開がアンコール中のMCで発表された。「5thシングルの発売決定」、そして「作詞・作曲をZAQが担当」。この2点が初日に発表され、さらに2日目には「カップリング曲もZAQが作詞・作曲を担当」、そして「カップリング曲はfeaturing 上坂すみれ」。内田の代表作のひとつである『中二病でも恋がしたい!』に関わった3人がどのようなハーモニーを奏でるのか? 内田にとっての新たな一歩になることは間違いないだろう。

5thシングルの概要を発表

「楽しい」。今回のライブで内田が何度も口にしたセリフである。ステージに出る前に不安を感じたのは「このステージが終わるのが嫌だったから」。あらためて観客に「すごく楽しかった」と感謝の言葉を告げる。「思い出は更新できる!」。これも未来に向けた内田のメッセージといえるかもしれない。去年も最高だったけど、今年も最高だった。これからもみんなと楽しい時間を作っていきたい。そんな気持ちを込めて、「Hello, future contact!」を熱唱する。

初日はこれで幕となった2ndライブだが、2日目は観客の「もう一回!」の言葉に後押しされ、Wアンコールを敢行。「心からみんなのことを愛している!」。そんな絶叫とともに、ライブタイトルでもある「Smiling Spiral」を再び歌い上げる。涙をこぼしそうになりながらも、最後まで笑顔を貫く内田。1stライブ、そして2ndライブの初日を締めくくった「Hello, future contact!」から「Smiling Spiral」へ。さらなる思い出を更新して、2日間のワンマンライブを締めくくった。

Wアンコールに突入!

なお現在、内田真礼公式サイトでは、ライブメモリーフォトの販売がスタートしているので、こちらもチェックしておきたい。

内田真礼 2ndワンマンライブ「Smiling Spiral」セットリスト

M-01 : Shiny drive, Moony dive
M-02 : クラフト スイート ハート
M-03 : アイマイ☆シェイキーハート
M-04 : Resonant Heart
M-05 : 世界が形失くしても
M-06 : North Child (※25日公演)
M-06 : Distorted World (※26日公演)
M-07 : 創傷イノセンス
M-08 : Moment
M-09 : TickTack…Bomb
M-10 : 5:00AM
M-11 : 金色の勇気 (※25日公演)
M-11 : Life is like a sunny day (※26日公演)
M-12 : モラトリアムダンスフロア
M-13 : からっぽカプセル
M-14 : クロスファイア
M-15 : Hello,1st contact!
M-16 : ギミー!レボリューション
M-17 : Smiling Spiral
【ENCORE】
EN-01 : わたしのステージ
EN-02 : 高鳴りのソルフェージュ
EN-03 : Hello, future contact!
【W ENCORE】※26日公演のみ
W EN-01 : Smiling Spiral