IDC Japanは3月15日、国内事業者データセンター(DC)の延床面積を発表した。これによると、国内事業者のデータセンター延床面積は2016年末時点で203万3540平方メートル、2021年末には220万319平方メートルに達する見込みとなった。これを年間平均成長率(2016年~2021年)に換算すると、年1.6%で増加するという。

国内事業者データセンター延床面積予測、2016年~2021年

同社では、ITベンダー、ITサービス事業者、通信事業者、クラウドサービス事業者などが国内に所有しているDC建物の延床面積合計を調査。今回の予測では、昨年(2016年)3月に発表した予測を上方修正している。

昨年の予測では、建設コストの高騰によるDC投資の手控えが起こるとしていたが、建設コストは2015年後半から緩やかな下降傾向が続いているという。これにより、DCの新設/増設については積極投資に転じるDC事業者が増えており、今回の予測見直しはこうした動きを反映したものとなる。

DC事業者がDCの新設/増設を拡大しているのは、クラウドサービス向けの大規模DC需要が増加しているためだという。クラウドサービス提供の基盤には、大量の電力供給および空調能力、大容量ネットワークインフラ、大容量IT機器を支えるための床構造などを備えたDC設備が必要であることから、従来の設備では対応できずに新築や増築を行っている。

また、最近は人工知能やディープラーニング(深層学習)といった新たなテクノロジーを利用したサービスを、クラウド環境から提供しようとするサービス事業者が増えていることも、大規模DCの新設/増設を加速させていると指摘。

人工知能やディープラーニングなどの演算処理ではサーバ1台あたりの消費電力が大きくなり、従来のDC設備では対応できないため、DC新設の需要拡大につながっていると想定している。

デジタルトランスフォーメーション(DX)による新たなビジネスが拡大するにつれて、それを支えるための大容量DCが増えており、こうしたビジネスでは変化が速いため、ITインフラの運用にも俊敏性が求められているという。

同社のITサービス リサーチマネージャーである伊藤未明氏は「DCの性能評価においては、これまで専らスケールメリットや信頼性/堅牢性が重視されてきたが、今後は運用効率や、ビジネスニーズに素早く対応できる能力(俊敏性:アジリティ)も重視されるようになるであろう」と分析している。