国内におけるNutanixの事業展開、目指す場所を教えてください。

町田:3階層システムを含めたクライアントサーバの世界は、20年以上も続いています。今後、われわれとしてはWebスケール(分散型ストレージ技術)を推進し、コモディティのX86サーバを使い、ソフトウェアで実装することで可用性や運用性などを担保していきたいと考えています。これにより、初期投資とランニングコストのバランスを図るとともに、パブリッククラウドの利便性を企業におけるITの中で実現する、エンタープライズクラウドプラットフォームに取り組みます。

例えば、AWSで実現できることをコンシューマグレード(簡単に使える環境)のGUIにより、スキルがなくてもマネージや利用技術をオンプレミスで使える世界を広げていきたいと思います。今後、クラウドの所有と利用のバランスを図ることが重要なため、その考えがITインフラ利用の主流になるのではないかと感じています。

また、分散型クラウドのユーザーエクスペリエンスを、われわれのアプライアンスとソフトウェアでサポートし、シンプルなUIにより、ワンクリックでサーバのデプロイメントやソフトウェアのバージョン管理などをシステムを停止せずに、運用から管理、監視、変更までを行うことを目指します。

これは、従来とは真逆の手法となり、エンタープライズクラウドプラットフォームとしての利便性やAPIを開放しつつ、ソフトウェアベンダーとの協業を通じたワークロードに対する利用技術を拡大していく環境を提供します。

その上でAmazon Elastic Block Store(EBS)やコンテナ、ベアメタル、マイクロセグメンテーションなど、新技術をコモディティなハードウェアで実装していくことにより、スモールスタートによる適材適所の投資、最初に導入したものを停止しないオペレーション、新旧のバージョン管理につながります。

重要なのは、Webスケールのアーキテクチャは今やパブリッククラウドの事業者が専門家でなくても、コンシューマグレードを実現しています。今後、Webスケールのアーキテクチャによるコンシューマグレードは、日本でも浸透させていくことが可能なほか、ITエンジニアの不足に対応できるものだと考えています。

地方自治体や中堅・中小企業、大企業などITエンジニアが十分に確保できていない事業者に対し、われわれのソフトウェア資産の価値と、パブリッククラウドが持つ利便性の両方とも提供できます。複雑な環境でもワンクリックで利便性を損なわないように提供していくことが、将来的なエンタープライズクラウドプラットフォームの在り方だと思います。

Nutanixは100%ソフトウェアの会社であり、100%WebスケールのアーキテクチャをコンシューマグレードのUIにより、これまでの3階層システムの領域からプラットフォームをやり直す「リ・プラットフォーム」を提唱していきます。すでに、シスコのUCSサーバにもソフトウェアを提供することを米国で決定しており、日本法人では年度明けには対応していく方針です。

デルとの関係性は、今後どのようになるのでしょうか?

なお、2016年9月にデルとEMCが統合したことにより、デルはハイパーバイザーとしてNutanixを採用した同社のハイパーコンバージドアプライアンス「XCシリーズ」のほか、VMwareを採用したEMCの「Vxrail」をポートフォリオに加えている。

町田:先ほども述べた通り、デルはOpenStackやCeph、Nexentaなどオープンシステムを複数持っており、顧客に対して選択肢を提供していることは従来と変わっていません。これからも、パートナーという形で国内外において事業を進めていくことに変化はなく、われわれの活動の中心になっています。

国内市場における課題と、課題に対する施策について教えてください。

町田:現状では、ハイパーコンバージドの世界は絶対数がまだまだ小さく、一企業で拡大していくことは困難です。そのため、国内のパートナー、ディストリビューション、SIer、ローカル企業などに受け入れられる利便性とITエンジニアの不足や問題解決を望む顧客に対し、可能な限り簡便かつクラウドを活用しなくても、われわれの製品の利便性を提供するとともに、必要なときに必要な量・タイミングで、インフラを増強していくことが引き続き、重要な活動方針となります。

また、典型的な3層階層システムの世界はアナザーレガシーであり、変えていく必要があります。そのためには、リ・プラットフォームを推進した上で、ハードウェアベンダーやハイパーバイザーを提供しているベンダーなど、さまざまなワークロードに対する利便性を提供しているソフトウェアベンダーと透明性のある事業展開ができれば、われわれ自身がベンダーロックインすることにはなり得ないため、そこが大事なポイントだと思います。