DJIは3月8日、東京都あきる野市の秋川で農薬散布用の新ドローン「AGRAS MG-1」をプレス向けに公開し、実演飛行を行った。

農薬散布のデモを行う「AGRAS MG-1」

DJI Agras MG-1は、 液状の農薬、肥料および除草剤の様々な散布を適正な割合でおこなうために設計されたドローンで、農業分野において効率性と管理能力を向上できるという。同社は、10分で4,000-6,000平方メートルの面積をカバーすることが可能で、手作業に比べ40~60倍のスピードで作業を行うことができるとしている。

DJI Japan マーケティング部 丸川英也氏によれば、同機は防塵・防水機能を搭載し、保護等級はIP(国際電気標準会議により定められている防水・防塵の保護規格)43、最大積載重量は10kg(10リットル)、飛行時間は最大10分となり、一度のフライトで最大1haの散布ができるという。

また、アーム部分は折り畳みが可能で持ち運びが容易なほか、前方、後方、下面の3方向のレーダー感知システムを搭載しており、正確な高さ情報を取得することで作物から一定の距離を保つことを可能としている。

さらに、前方、後方、全体噴霧の3つの噴霧モードを備え、状況に合わせて使用できることに加え、ポンプ部分には流量センサを設け、噴霧状況をリアルタイムに監視しているという。


DJI Japan マーケティング部 丸川英也氏

丸川氏は、「A3-AGフライトコントローラにより安定したフライトを可能とし、気圧計とコンパスを各2基設置し、冗長設計にすることで、万が一、片方が不具合が発生した場合でも残る1基でフライトを継続することができる。加えて、送信機は現場利用を考えて設計しており、強い日光の下でも可視性を担保する5.5インチの高輝度ディスプレイで稼働時間は最大5時間となる。また、作業効率の向上を勘案し、プロポ(操縦機)の画面上で散布量・面積を入力すると散布ルートなどを機体が自動生成する自律散布システムを備え、日本では使用許可を申請している。そのほか、電線などの障害物を検知するレーダーモジュール、cm単位の機体位置制御を行うRTK、最大6個同時接続が可能な充電ハブといった主要オプションパーツも用意し、現在は粒剤散布装置の検証を開始している」と、同機の特徴を語った。


機体の操作は手動モードと手動強化モードがあり、手動強化モードは事前にプロポの専用アプリ「GS PRO」で設定した散布幅で一定の速度による散布を可能とし、機体がホバリングすると散布を停止させることができる。

タンク

噴霧ノズル

プロポ(操縦機)

サポートに関しては、農林水産航空協会認定のオペレーター研修を行い、同協会からライセンスの取得が可能な教習施設と、修理やメンテナンスを行う整備事業所の全国への設置を進めており、4月末をめどに30カ所が設置されるという。

教習施設では認定教官がDJIオリジナルテキストを使い、初心者向け5日間、経験者向け3日間の教育プログラムに取り組む。さらに、保険は初年度無償の対人最大1億円、対物最大5000万円(農薬による被害を含む)の賠償責任保険を用意しているほか、機体保険も任意で加入が可能だという。機体価格は180万円前後となる。

DJI Japanの代表取締役 呉韜(ごとう)氏は「日本における農業の安全・安心や効率化の向上のために貢献できればと考えている」と期待を込めた。

DJI Japanの代表取締役 呉韜(ごとう)氏

機体フレームは、対角ホイールベースが1520mm、フレームアーム長が625mm、寸法が1471mm ×1471mm×482mm(アームを広げた状態、プロペラなし)、780mm×780mm×482mm(アームを折畳んだ状態)。

飛行パラメーターは総重量が9.5kg(バッテリーなし)、標準離陸重量が23.5kg、最大離陸重量が24.5kg(海抜≒0メートル地点)、最大推力重量比が1.73(離陸重量23.5kgの場合)、大容量バッテリーが純正バッテリー(MG-12000)、最大消費電力が6400W、ホバリング消費電力が3800W(離陸重量23.8kgの場合)、ホバリング時間が22分(1万2000mAhで離陸重量13.8kgの場合)、10分(1万2000mAhで離陸重量23.8kgの場合)となる。