現在のマツダ人気の礎を築いたSUV「CX-5」が初めてのモデルチェンジを実施した。「スカイアクティブテクノロジー」と「魂動(こどう)デザイン」という2本柱はそのまま。ではどこが変わったのだろうか。実際に試乗することで、「進化」ではなく「深化」だとマツダが語るモデルチェンジの成果を検証した。

新型「CX-5」

新世代商品群は2巡目に突入

2016年12月に発表されたトヨタ自動車の新型SUV「C-HR」が人気だ。日本自動車販売協会連合会が発表した2017年1月の新車乗用車販売台数ランキングでは、9,000台以上を売って第4位に入った。

そのC-HRがデビューした翌日には、同じクラスのSUVであるCX-5がモデルチェンジした。CX-5は2012年、マツダの新世代商品第1弾として登場。スカイアクティブテクノロジーと魂動デザインを組み合わせ、国産車では初めてクリーンディーゼルエンジンを主力に据えた。

その後のマツダは、「アテンザ」や「デミオ」など、ラインナップを次々に新世代商品に切り替え、一昨年にモデルチェンジした「ロードスター」で世代交代を完了した。つまり新型CX-5は、新世代商品群2巡目のトップバッターなのである。

“深化”に現れたマツダのブレない姿勢

スカイアクティブテクノロジーと魂動デザインという2本柱は今回も不変だ。ゆえに正常進化、キープコンセプトと言われることが多い。インパクトという点ではC-HRのほうが上かもしれない。

しかし、それは当初から想定していたこと。旧型は新世代商品のトップバッターとして、世界的な人気車種になった。ゆえにマツダは初めてのモデルチェンジで、走る歓びの深化をコンセプトとして掲げた。「進化」ではなく「深化」としたところに、ブレない姿勢が現れている。

旧型CX-5では、ドライバーは走る歓びを堪能できたものの、同乗者にとっては乗り心地が荒かったり、室内の質感が今一歩だったり、気になる部分があった。新型はその点を改善し、同乗者にも歓びをもたらすクルマ、つまりCX-5に乗るすべての人に歓びを与えるために開発したという。