山梨市、フルーツ山梨農業協同組合(JAフルーツ山梨)、シナプテック、NTT東日本山梨支店の4者は2月24日、「アグリイノベーション Lab@山梨市」プロジェクトを開始した。地の利を生かした農業分野における先進都市として、IoTやバイオ技術などの成長分野に積極的に取り組む姿勢を内外に示すことで、「持続可能な社会づくり」や、それを担う「稼げる農業」の実現に向けた基盤を形成する取り組みを共同で行う。

プロジェクトで目指す取り組みのイメージ

新プロジェクトでは、山梨市域をアグリ・イノベーションに資する「Lab」(試験圃場)と位置づけ、実証実験およびビジネス検証フィールドとして活用。また、マルチ・ステーク・ホルダーによるコンソーシアムを形成し、目的達成に必要な資源や情報を集約し、各プロジェクトを立ち上げる。

実証実験により取得した成果やデータを、山梨市のブランディングや農業の6次化を含め、他の産業および担い手向けの教育の材料として利用するなど、多様な波及効果を狙う。さらに、結果を集積し、持続可能な農業や地域の形成、および山梨市発の新たな価値やビジネスなどの創出へと導き、目的達成を目指す。

まずフェーズ1として、山梨市・JAフルーツ山梨・シナプテック・NTT東日本山梨支店の4者でプロジェクトを発足。参画プレイヤーがリソースやノウハウを持ち寄り、地域と協力し、第1弾のプロジェクトとして、手軽な農業IoTのトライアルやスタディ、バイオ分野における最新の成長促進剤などの導入に向けたヒアリングなどを行う。トライアルは、市内10件程度の農家や観光農園などで実施を予定している。

トライアルを通じ、農業や地域発展におけるIoTやバイオ技術の可能性・課題を身近に知ってもらい、取り組みのドライブをかける。2017年度上期から予定しているフェーズ2では、農業IoTのトライアルを通じて得た課題や必要な役割分担を踏まえ、山梨市行政との連携を強化し、規模の拡大やビジネス化を検討する。具体的には、分野・パートナー/エリア/サポート/技術の拡大などを予定している。

さらに、データを地域ブランディングや6次産業化に利用する成功事例を創出するとともに、バイオ分野における実地試験を実施し、研究機関などとの連携を強化する。将来的には、現在の就農者や将来の就農者(Uターン、Iターン)に優しい地域のショーケースを目指す。

また、関連プレイヤーが集まるラボとすることで、持続的なプロジェクトの発展を目指すとともに、次代の担い手たちとの知の共有・深化を行う。具体的には、運営団体の設立や、教育機関などとの連携・協働を想定している。

さらに、ブランディング向上による地域競争力の強化や6次産業の育成、起業創業支援団体であるMt.Fujiイノベーションエンジンと共に新規ビジネスの創出を目指す。これらにより、定住人口や交流人口の増加、また農業収入の拡大などを目指す方針だ。

アクション・プラン

各者の主な役割分担として、山梨市は的確な助成対象の考察と選定・予算化を目的とし、実証実験フィールドの提供と官側の協働事務局を担う。JAフルーツ山梨は、既存農家・新規就農者支援や後継者育成支援など、農業支援に関する効果検証を目的とし、参画農家の募集と対応及び収集データへの助言やデータを価値に変える取り組みを担当する。

シナプテックは、果樹及び野菜に対する成長促進剤および土壌改善に資する商品の開発・検討を目的としており、バイオに関する知見および、これら商品の提供、多様な企業や事業アイデアと実証実験フィールドとのマッチング、民間側の協働事務局を担う。NTT東日本山梨支店は、農業IoT分野のサービス化に向けた受容性の検討と知見の収集を目的とし「お手軽農業センサー」および屋外アクセスポイントの貸与を担当する。

主な役割分担