日本オラクルはこのほど、B2Cマーケティングに関する説明会を開催した。説明会では、同社のB2Cマーケティングに向けた取り組みを紹介するとともに、「au WALLET Market」を運営するルクサが「Oracle Marketing Cloudを導入した経緯やメリットを説明した。

新規顧客獲得からロイヤル顧客化までのフレームワークを提供

日本オラクル クラウドアプリケーション事業統括 マーケティングクラウド統括本部 中嶋祐一氏

日本オラクルのB2Cマーケティングに向けた取り組みについては、クラウドアプリケーション事業統括 マーケティングクラウド統括本部の中嶋祐一氏が説明を行った。

同社は顧客体験の向上を支援するソリューションとして「Oracle Customer Experience Cloud」を提供しており、その1つのコンポーネントにマーケティング業務を支援する「Oracle Marketing Cloud」がある。

同社はさまざまな企業の買収を行い、デジタルマーケティングに投資を行ってきたが、買収した企業の製品を統合することで、マーケティングからセールスまで包括したソリューションのラインアップを作り上げた。

新規顧客の獲得、コンバージョン率の向上を支援、リテンション/ロイヤル顧客化の実現といったB2Cマーケティングを最適化するフレームワークは、Oracle Marketing Cloudの「Oracle Data Management Platform」「Oracle Testing and Personalization」「Oracle Cross Channel Orchestration」のほか、「Oracle Social Cloud」から構成される。

オラクルのデジタルマーケティングに関連した買収

オラクルのB2Cマーケティングにおけるフレームワーク

中島氏は「Oracle Testing and Personalization」と「Oracle Cross Channel Orchestration」の概要を紹介した。

「Oracle Testing and Personalization」は、WebサイトのABテスト・多変量テストにより顧客体験の最適化を支援するソリューション。その主な機能は「テスト」「分析」「パーソナライズ」となる。

中島氏は同ソリューションの特徴として、「Webページにタグを1行追加するだけで容易に実装できる点」「高度なテストが可能な点」を挙げた。例えば、多変量テストは1つのWebページで、ボタンやバナーといった複数の要素を自在に変更して行うことが可能で、その結果、どの要素がコンバージョンに最も影響を与えたかを分析することができる。

一方、「Oracle Cross Channel Orchestration」は、チャネルごとにバラバラなデータを統合し、一貫性のあるコミュニケーションを実現する製品だ。顧客へのプッシュ型アプローチを柔軟に自動化する。

「Oracle Cross Channel Orchestration」の概要

ポイント活用のための仮説をスピーディーに検証

ルクサ 事業開発部 部長 秀口成勲氏

説明会では、ルクサ 事業開発部 部長の秀口成勲氏が、「Oracle Testing and Personalization」を導入した経緯と導入効果について説明した。

ルクサは、KDDIの連結子会社として、レストラン・美容サロン・宿泊施設・有名ブランド・アイテムなどの厳選された体験や商品を販売する「au WALLET Market powered by LUXA」などのECサイトを運営している。

秀口氏は、「au WALLET Market powered by LUXA」について、純粋なECサイトとして、また、キャリアのECサイトとして2つの側面で特徴を備えていると説明した。

「ECサイトの特徴としては、日替わりで100点、200点といった大量のタイムセールを実施している点、良質な商品調達ができている点がある。キャリアのECとしては、"たまりやすく"かつ"使いやすい"ポイントがあり、ショップでスタッフによる案内が可能であるといった特徴がある」

「au WALLET Market powered by LUXA」はローンチしてから8カ月で、LUXAの5年間の累計登録者数を上回り、急成長を果たしたという。秀口氏によると、その要因として「レコメンド機能の実装」「UI/UXの回収、ABテストの実施」「auのアセットを活用した独自のキャンペーンの実施」などがあるという。

こうしたなか、キャリアのユーザー数には限界があるとして、さらなる成長を目指すため、ルクサではオラクルの「Oracle Testing and Personalization」の導入に踏み切った。

秀口氏は同製品を導入した理由について、「多変量テストにより、スピーディーで正確なPDCAを回せること」「タグの埋め込みによる容易な導入」「グローバルのノウハウとローカルでの運用サポート」を挙げた。同製品の導入にあたっては、他の3社の製品も検討したそうだ。

「今後の成長を考えると、新たなツールが必要だと判断した。これまで使っていた別なツールに比べて、Oracle Testing and Personalizationは拡張性があり、一定期間で多くのテストが行える点が便利。また、直感的なGUIで、属人的ではない運用が可能な点も魅力的だった」

秀口氏は、ポイント活用がやりたいレベルにまで達してないことから、Oracle Testing and Personalizationを用いて、ポイント活用のための施策を行ったことを紹介した。

具体的には、ポイントに対する感度が高い人とポイントの保有高の関係性を検証するため、テストを実施した。その結果、ポイントに対する感度と保有数に関係がないことがわかったそうだ。

Oracle Testing and Personalizationの活用例

ルクサでは、Webサイトを訪れたオーディエンスに向けて、「Oracle Testing and Personalization」のポップアップ機能を活用し、キャンペーン施策を実施。オーディエンスに合わせた適切なタイミングに適切な情報やプロセスを提供することで、キャンペーンと同期間に実施した別のキャンペーン施策と比較して、CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)が約2倍の効果を得られたという。

秀口氏は今後について、「『Oracle Testing and Personalization』と『Oracle Cross Channel Orchestration』を連携させることで、包括的かつ快適な購買体験の実現を検討している」と話した。Cross Channel Orchestrationを導入することで、ソーシャル上のデータを分析することで、顧客を増やすための最適なアプローチを追求していくことを狙っている。