東北大学 未来科学技術共同研究センター(NICHe)は2月14日、リチウムイオン2次電池の少量多品種量産技術の開発に成功し、電気自動車(EV)への搭載試験を開始したと発表した。

同研究は、東日本大震災の復興を進めるうえで、過疎高齢化が進展する地域での地域交通システムとしての小型EVの普及や、再建が遅れているほか、設備の老朽化により廃止も増えつつある被災地でのガソリンスタンドに代わる再生エネルギーの活用などを目指して進められているもの。蓄電池として重要視されているのは、熱安定性に優れ、使いやすく蓄電能力の高い電池を長期安定して地域に供給できる体制を構築することにあるとのことで、今回、研究グループは、高い熱的安定性を有するマンガン系正極を採用しつつ、1セル当たり95Whの大容量化を実現したセル技術を開発したほか、ドライルームを用いないで製造を可能としたことで低コスト化を図りつつ、生産ロット数の変更を容易に行える柔軟な製造ラインを構築することに成功。これにより、地域特性に合わせたカスタマイズ開発が可能な少量多品種のリチウムイオン2次電池の生産体制を構築することが可能になったという。

すでに、宮城ダイハツ販売からスポーツカー「コペン」の寄贈を受け、自製のリチウムイオン2次電池を搭載した電気自動車への改造を実施したとしており、今後、電池のカスタマイズ開発と併せて、沿岸被災地及び過疎高齢化の進む中山間地に適した車両の走行試験などを行っていく予定としている。

東北大が新たに開発したリチウムイオン2次電池の特徴 (出所:東北大Webサイト)