政府が力を入れる働き方改革。その中でも、課題感が強いのは女性活躍の取組みだ。女性が長く働き、活躍できる取組みが各企業で進められているが、その中でもエイジョと呼ばれる営業職の女性従業員は10年で9割やめるといわれている。様々な職種がある中でも、最もスタンダードといえる営業職。なぜ状況はよくならないのか。

先進企業でも残るエイジョ問題

リクルートホールディングス、サントリーホールディングス、キリン、日本アイ・ビー・エム、KDDI、三井住友銀行、日産自動車は、経産省の「ダイバーシティ経営企業100選」や、「えるぼしマーク」などの常連企業、いわゆるダイバーシティ推進企業だ。しかしそんな7社であっても、営業における女性の数、継続雇用については課題をクリアできずにいた。そんなことから7社が、「営業で女性がさらに活躍すること」を目指し、「新世紀エイジョカレッジ」という共同プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトでは、選出された営業職の女性が、営業職における女性のキャリア課題を分析し、解決策を検討した。

結果、見えてきた課題は、2つ。夜の接待といった日本の商習慣などからくる労働生産性の問題と、女性自身が続けられないのではないかという「先の見えない不安」を抱き辞めていってしまうという状況だ。では、この課題はどうやって克服したらいいのだろうか。今回は、前述した企業らが中心となって提言している内容をみてみたい。

ママ体験と名刺にマママーク

モデルになるような営業のママ従業員がいない職場も多いのが現状だろう。キリンの提言はそんな職場にふさわしい。ママ営業がいる職場を実際に体験してみるママ体験とマママーク作成を提言。

ママ体験は、子どもがいる女性ならではの働き方をルール化、子どもがいない女性営業職がママになりきって、そのルールに則って行動する。それによって女性従業員は、これから迎えるかもしれないライフステージを前もって体験できる。上司は働き方に制約がある従業員のマネジメント、男性従業員は、職場がどう変わるのかを事前に体験できるというもの。女性自身、上司、同僚がそれぞれの立場でママ営業に対する理解を高めることが狙いだ。

リアルなルールが定められているのがポイント