CarPlayを利用していて、日々のiPhoneがクルマの中でも活躍してくれる、クルマとの関係作りを取り持ってくれる、そんな印象が深まってきた。しかし、では今乗っているクルマにCarPlay対応の後付け車載機を装備したくなったかと言われると、そこまではなかった。

米国で車載機を探すと、500ドル程度を考えなければならないからで、ならば次のクルマで対応するモデルを選べばいいや、という気持ちになってしまったのだ。

読者の皆さんも、iPhoneのCarPlayの存在を知っている人は多いだろう。ただ実際に毎日使っているという人は、少ないのではないだろうか。そもそも普段自動車に乗らないという人には関係がないし、クルマを持っていたとしても、CarPlay対応の車載機がなければ利用することはないからだ。

そして米国であっても、前述のように、車載機を買い換えてまで使いたいかといわれるとそうではない。Appleは、200車種以上がCarPlayをサポートしているという、利用機会の拡大を声高に強調しているが。

その背景には、運転中のスマートフォン利用による事故を如何に防ぐか、というクルマ社会とスマートフォンの共存を、早期に模索しなければならないという事情もある。

2016年末の事故では、20歳のドライバーがiPhoneのFaceTimeを操作していて渋滞に気づかず追突し、衝突したクルマに乗っていた5歳の女の子が亡くなっており、その両親はAppleを訴えている。Appleが運転中に操作不能にする機能を搭載していない点を問題視しているのだ。

もちろん事故はドライバーの責任であるが、スマートフォンが原因で事故が起き続けることを放置しておくわけにはいかないだろう。

もしもAppleが運転中のスマホ操作を制限する機能を導入するという事態となるなら、前提として、CarPlayの普及率が大幅に高まっていることが必要となるだろう。しかしCarPlay対応車の増加を待つ間、対策を施さないままと言うことも考えにくい。

そこでもSiriがキーワードになりそうだが、考察はまた次の機会にしたいと思う。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura