次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月8日、印刷技術を用いて圧力と温度の面内分布を同時に検出可能なフレキシブルシートセンサを開発したと発表した。

印刷法を用いたフレキシブルデバイスは、製造プロセスの簡素化、工程の簡略化が可能なため、省エネルギー・省資源化の実現や、大面積・薄型・軽量といった付加価値を生み出すことで期待されており、その実現に向けた研究が各所にて進められている。今回、JAPERAは、印刷製造したフレキシブルTFTアレイシート上に感圧層と感温層をパターン印刷することで、微細な感圧部と感温部を面内に高密度に配列した、圧力・温度同時多点検出シート型センサを開発したという。

従来工程と印刷工程の比較 (出所:NEDO Webサイト)

具体的には、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極および有機半導体から構成されるTFT上に中間層を介して、画素電極と感圧層もしくは画素電極と感温層が積層された構造を採用。感圧層、感温層とも圧力または温度によって抵抗が変化する特性を有しているため、各々の層に直列に接続されたTFTのゲート線を走査しながらソース電流を読み出すことで、圧力および温度の面内分布を検出することを可能とした。

感圧・感温複合センサの断面模式図 (出所:NEDO Webサイト)

実際に試作されたシートセンサは総厚約0.3mmで、高いフレキシブル性を有していること、ならびに重量と温度の異なる液体の入った複数の容器をセンサ上に載せて、容器の位置、重量(圧力)および温度を同時に検出できることを実証したという。検出エリアはB5サイズで解像度1.2mmピッチ、圧力0~500kPa、温度20~50℃の検出が可能であるとする。

試作されたシートセンサの外観 (出所:NEDO Webサイト)

なおJAPERAでは今後、フレキシブルTFTアレイ製造技術をベースとして、同一基板上に複数の機能を集積化したフレキシブル多機能デバイスの設計および製造プロセス技術の開発を行い、開発技術をプラットフォーム化し、ヘルスケア分野、物流分野などさまざまなユースケースに適用することで、実用化実証を進めていきたいとしているほか、将来的には、圧力と温度以外にも摩擦などの物理センサやバイオセンサを組み合わせることができれば、センサによる人の皮膚感覚の実現が近づくこととなるため、人と同じ感覚をもった優しいロボットの実現などにもつながることが期待されると説明している。