DAZN for docomo自体はサービス内容、価格ともに非常に高い魅力のあるサービスだが、気になるのはパケットの消費量だ。フルHDクラスの配信となると、ビットレートは20~30Mbps以上が当たり前となる。家庭であればWi-Fi+光回線といったかたちでデータオフロードできるが、モバイルでは、回線速度自体はLTEによって確保できるとしても、場合によっては1試合で数百MB~GBクラスの容量を消費してしまう可能性もある。

仲良くロゴを発表するドコモの吉澤社長とDAZNのジェームズ・ラシュトンCEO。相互にとってかなり戦略的な意味合いを持つパートナーシップとなったようだ

こうした指摘に対しては、モバイルであっても大容量プラン、特に50~100GBといった超大容量契約の「ウルトラパック」の活用を推奨している。

ソフトバンクはキャンペーンとして、スポナビライブに利用する通信料を無料にする、いわゆるゼロレーティングを実施していたが、ドコモとしてはゼロレーティングを行うのではなく、サービスはサービスとして対価を取っていく方針のようだ。

その意味では、ユーザーを大容量プランに移行させるための戦略的なサービスと捉えることもできる。MVNOの台頭で離れゆくユーザーに対し、価格差を正当化するような割引率を提示することで足止めを図るとともに、より大容量の契約へと移行させる巧妙な作戦だ。

スポーツファンにとっては非常に魅力的

世界的にスポーツ放映料の高騰で地上波/BS・CSからもスポーツ中継がめっきり少なくなってしまった感があるが、スポーツファンにとってはマイナースポーツや海外スポーツも抑えた非常に魅力的なサービスとなる。特にJリーグやF1のファンはこぞって加入するのではないだろうか。

ドコモは早急に100万契約を目標としたいとしているが、今回の施策で案外2017年夏前までにはあっさりと達成してしまうように思える。ドコモの発表に合わせていち早く対応してきたソフトバンクや、今のところ動きの見えないauがどういった反応を見せるのか、そして既存の放送メディアがどう対応するかも含めて、今後も注目していきたい。