本田技研工業と日立オートモーティブシステムズは、電動車用モーターの合弁会社を設立する。ハイブリッド車(HV)では自社製モーターを使うホンダだが、将来は市販車両の3分の2を電動車にすると宣言した同社にとって、モーターの量産体制確立は急務だ。

合弁設立の合同記者会見に登壇した日立オートモーティブシステムズの関秀明社長(左側)とホンダの八郷隆弘社長

まずはHV、PHV、EVの3車種にモーターを製造

両社は合弁設立で基本合意書を締結した。資本金は50億円、出資比率は日立オートモーティブ51%、ホンダ49%とする。合弁の設立契約は2017年3月末、設立時期は同年7月の予定。合弁会社の名称と代表者は未定だ。所在地は茨城県のひたちなか市。生産能力や工場の稼動時期といった詳細は今後詰める。

新会社では米国と中国に製造・販売子会社を設立する方針。製造するモーターについては外販も検討するという。モーターの種類としてはHV、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)の3車種向けで始めるが、燃料電池車(FCV)用についても検討の余地はあるとのことだった。ホンダは自社製と合弁会社製の2種類のモーターを使っていくが、将来的には合弁会社にモーターの生産を移管する可能性もある。

ホンダの電動化が加速

「2030年にグローバルでの4輪販売台数の3分の2をHV、PHV、バッテリーEV(いわゆる電気自動車)、FCVといった電動車両にすることを目指している」。合弁設立会見に登壇したホンダの八郷社長は、同社の電動車両製造に関する目標に改めて言及した。

ホンダは1999年に同社初のHV「インサイト」を発売。これまでにHVを累計で194万台販売してきた実績がある。HV以外の電動車としては、トヨタの「ミライ」と並び、市場にいち早く登場したFCVの「クラリティ・フューエルセル」や、すでに販売を終了した「アコード」のPHVなどがある。米国では2017年中のPHV投入を検討しているようだ。

例えば「ヴェゼル」にもハイブリッドバージョンがある

HVのモーターは自社製を使ってきたホンダだが、「電動化を更に加速させるには、より競争力のあるモーターを作る必要がある」(以下、発言は八郷社長)ことから今回の合弁設立を決めた。自社製モーターの性能については「軽量、コンパクト、高出力」だと自信を示すものの、おそらく1社で量産体制を構築するのは困難だったのだろう。「量産技術は日立が持っていると思う」と八郷社長もシナジー効果に期待を示していた。