富士通研究所とUniversity of Toronto(トロント大学)は2月6日、データセンター内のサーバとスイッチ間通信で用いられるイーサネット向け光モジュールにおいて、従来の55%の電力で動作する省電力リファレンスレス受信回路を開発したと発表した。

同成果の詳細は2月5日から米国サンフランシスコで開催されている半導体技術に関する国際会議「国際固体素子回路会議(ISSCC 2017:IEEE International Solid-State Circuits Conference 2017)」にて発表される予定だという。

光モジュールの省電力化や小型化には搭載する部品の数を減らすことが重要であり、例えばリファレンスレス受信回路を用いることで、水晶発振器を削減することが可能となるが、従来のリファレンスレス受信回路は、入力信号を観測してデータを読み取る周期を調整するための回路を高速に動作させる必要があるため消費電力が大きいという課題があったほか、電力消費に伴う発熱の問題から高密度実装が困難であるという課題があった。

今回、研究グループは、新たに入力信号の振幅情報からデータの読み取り周期のズレを検出する方式を開発。具体的には、振幅情報からデータ読み取り周期のズレを検出するために、入力信号が1か0かを判定するしきい値が高・中・低と異なる3つの判定回路を1回のタイミングで動作させて入力信号の変化の傾きが時間的にどのように変化していくかを調べることで、タイミングのズレを検出し、従来構成比でタイミング生成回路を4分の1に削減することに成功したとする。

なお、同技術をリファレンスレス受信回路に適用した場合、消費電力は従来構成比で55%に低減されたほか、光モジュールでは70%に低減できることを確認。これにより、光モジュールの高密度化が可能となったとしており、同社では2019年度に同技術の実用化を目指すとしている。

今回開発された技術を用いたリファレンスレス受信回路のブロック図