富士通は2月6日、IoTシステム向けアプリケーション開発を行う企業や研究機関などを対象に、大規模IoTシステム向けテストベッド(実証環境)の無償提供を開始した。テストベッドは、2016年11月に情報通信研究機構(NICT)の「IoTテストベッド事業及び地域データセンター事業に係る助成交付対象事業」に採択されている。

テストベッドは、K5 IoT PlatformにDRCを拡充する富士通研究所の新技術「広域分散データアクセス技術」を組み込んでおり、DRCはネットワークトラフィックやデータ処理の負荷状況に応じて、センサから収集された大量のデータの処理を効率的に分散できるようクラウドとエッジコンピュータに振り分けることで、安定したリアルタイム処理を実現する。

広域分散データアクセス技術を組み込むことで、処理の振り分け先であるクラウドや各エッジコンピュータ上に分散して蓄積されるすべてのデータの種類や所在情報のみをクラウドに集約し、一元管理を可能にするという。これにより、そのほかのアプリケーションでのデータの再利用といった効率的なデータ活用が実現できるとしている。

安定した分散処理と、データの効率活用を可能にする一元的な所在管理を両立した本テストベッドを利用することで、利用者はアプリケーション開発の際にそれらの仕組みの作り込みが不要になるため、迅速にIoTシステムを実現することが可能になるという。

「広域分散データアクセス技術」を適用した「DRC」のイメージ

同社はテストベッドの提供を通じ、製造や流通、公共分野をはじめとしたさまざまな分野において、大規模IoTシステムを活用した新たなサービスの創出に貢献するとともに、テストベッドの提供から得られる知見を生かし、K5 IoT Platformの競争力強化を図っていく。

今後、同社は1年間、テストベッドの利用者を募集し、10件程度の企業・団体の利用を見込むとともに、利用者は本テストベッドの活用状況に関する報告書を提出することで無償利用することが可能。なお、東京大学と北海道大学はテストベッドを活用し、大規模IoTシステムの基盤技術開発や実証を行う予定だ。