明治大学(明大)は1月26日、光合成生物であるラン藻の炭素代謝で重要な働きをする「ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)」という酵素が、1つのアミノ酸を換えることで、活性阻害を受けにくくなることを発見したと発表した。

同成果は、同大 農学部農芸化学科の竹屋壮浩氏(学部4年生)、同 環境バイオテクノロジー研究室 専任講師の小山内崇氏、理化学研究所の平井 優美チームリーダーらによるもの。詳細は英国の科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

PEPCは二酸化炭素を固定する酵素の1つで、バイオプラスチックの原料であるコハク酸などの有用化合物の生産量を制御する酵素としても知られている物質で、今回、研究グループではラン藻のPERCを調査したところ、954番目のアミノ酸がどういったものかにより、酵素の性質が変化することを発見したという。

なお研究チームでは、今回の知見をPEPCに施すことで、ラン藻の二酸化炭素固定量がさらに増えることが見込まれると説明するほか、PEPCの機能を向上させることで、コハク酸をはじめとする有用化合物の増産も期待できるようになると説明しており、今後は、さらなる生化学解析を進めることで、PEPCの性質を解明し、光合成や炭素の循環の理解につなげたいとしている。

今回の研究で使用したラン藻の1つ「シネコシスティス」。右はPEPCの酵素活性で、縦軸は酵素活性の相対値。1mMリンゴ酸の存在下で、酵素活性はほとんど影響を受けないが、アミノ酸を変換すると、酵素活性が65%まで低下することが確認された (出所:明治大学 Webサイト)