米Planetwayは1月24日、東京海上日動火災保険(東京海上日動)の実証事業へ同社のデータ連携技術を提供し、医療機関などにおけるブロックチェーン技術活用に向けた実証事業を実施すると発表した。実証事業は福岡地域戦略推進協議会(FDC)と連携して行う。

「ブロックチェーン」は、決済や取引の自動化などさまざまな領域での活用が見込まれる技術として非常に高い注目を集めている。しかし、ブロックチェーンにおける暗号化技術の利用は偽造・改竄を防止するためのもので、取り扱うデータそのものは暗号化されていないことから、機密情報や個人情報などを扱う上で課題があるとされている。特に、保険業務で取り扱う契約内容や医療情報など、長期にわたって非常に高い秘匿性が求められる領域での活用に向けては、通常の暗号化での対応では不十分であり、新たな技術による課題克服が求められている。

東京海上日動は、エストニアの国民番号制度にも利用される高セキュリティ技術を適用したデータ連携基盤であるPlanetwayの「avenue-cross」と、従来のブロックチェーン技術を合わせて活用することで、課題を克服し、新たな顧客価値の創出や革新的な業務効率化の実現を目指す。

実証事業 イメージ

具体的には、FDCの協力を得て福岡市域の医療機関と連携し、傷害保険金請求書に記載の医療機関に対し、ブロックチェーンを通じて入通院期間などの医療情報の提供を要求する。2017年1月から、データ連携基盤を通じて医療情報などのデータを受領することで、医療情報に対するセキュリティを確保しつつ、保険金支払業務の簡略化や迅速化が可能かを検証する。

実証事業の結果を踏まえ、保険業務で扱われる秘匿性の高いデータのやりとりへのブロックチェーン技術の活用を進めていくことで、保険に関連する事務プロセスを革新的に効率化するとともに、万が一の際の顧客への迅速な保険金支払いを実現。また、将来的には医療機関・介護事業者間の情報連携や海外とのデータ連携を活用した訪日外国人向け施策、スマートシティをはじめとした地方創生策など、保険分野以外の領域での活用を進めることを目指していく。