東北大学と東京大学、筑波大学、日本医科大学の4大学が連携してドーピング対策「アンチ・ドーピング」の研究を推進することになった。2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、最先端の医学研究などを活用して効果的、効率的で、選手の精神的・身体的負担を軽減する新しい検査方法の開発などを目指す。4大学の総長・学長が18日に共同記者会見して発表した。

写真 記者会見した右から東北大学の里見進総長、筑波大学の永田恭介学長、東京大学の五神真総長、日本医科大学の弦間昭彦学長

ドーピングは、競技能力を増幅させる薬物などを不正に使用すること。禁止物質や禁止方法は世界アンチ・ドーピング規定の基準によって定められているが、昨年のリオデジャネイロ五輪を前にロシアで国家主導とされるドーピングが発覚した。

4大学の総長・学長らが18日発表した共同声明などによると、近年、検査をすり抜けるドーピング技術が巧妙化し、最先端の医学研究の成果や微量分析技術を活用した新たな検出方法の開発が求められている。

アンチ・ドーピング技術研究では一部欧米が先行しているが、日本国内でも例えば東北大学の、東北メディカル・メガバンク機構がドーピングの研究分野で実績を蓄積している。他の3大学でもそれぞれ特徴を生かした研究実績があるため、2020年に向け、ドーピング研究分野で実績がある4大学が連携してコンソーシアム(事業共同体)を設立して、アンチ・ドーピング技術研究を先導することになった。

今後、4大学以外の大学や民間企業にも参加を呼びかけながら 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)に採択される検査方法の開発を目指すという。

4大学の総長・学長による記者会見の後、コンソーシアム結成記念式典が行われた。席上、スポーツ庁の鈴木大地長官は「次の五輪の開催国として、アンチ・ドーピング機関と国内の大学、研究機関、民間企業が結束し、検査の手法などで革新が起きると期待している」などとあいさつした。