さて、Apple TVの役割の変化の可能性について触れた上で、Apple TVの元々の機能だった映像コンテンツを視聴するという機能について話を進めよう。

Apple TVのTVアプリは、Appleが目指している「新しい番組表」のような役割だ。Apple TVで今のところ利用価値が高いアプリはストリーミングサービスである。日本で最も人気のあるAmazonのアプリは政治的な問題から配信されておらず、当面難しいと思うが、Apple TVは現状、Netflix、Hulu、HBO Nowといったアプリを使うためのデバイスという色合いが強い。

Apple TVで動作するSiriでは、こうしたストリーミングサービスのアプリを横断的に、声でコンテンツを検索する仕組みを提供している。あるドラマ作品を検索した場合、iTunesやNetflix、Huluなど、どのサービスで見られるかを表示し、もしアプリがなければダウンロードできる。もちろん月額課金のサービスは契約する必要があるが。

ここでの問題は、いくつかのサービスを利用するようになった時に、アプリによる分断が発生することだ。各サービスでは、番組やシリーズに対してウィッシュリストや継続視聴(Queue)を登録することができるが、これらはそのアプリを覗きに行かなければ見られない。新しいTVアプリが解決する問題は、見たい番組の最新話を、アプリが分かれていても1箇所で見始められるようにすることだ。これだけでも、Apple TVでの番組視聴の使い勝手は大幅に変わる。