三菱電機は1月12日、次世代移動通信システム基地局の電力増幅器として、1台で3GHz以上の複数周波数帯で最大動作帯域600MHzをカバーする「超広帯域GaNドハティ増幅器」を開発したと発表した。

スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及により、携帯端末のデータ通信量が急速に増大している。膨大なデータ通信量を高速に処理するため、次世代移動通信システムへの移行が進められており、新たな周波数帯の追加や複数周波数帯の使用などによる通信回線の増強に加え、基地局の小型・低消費電力化が求められている。

今回開発した「超広帯域GaNドハティ増幅器」では、周波数補償回路を従来型ドハティ増幅器へ適用することで高効率な動作を実現し、動作帯域を従来比3倍の600MHzまで拡大。動作帯域の拡大により、1台で複数の周波数帯域をカバーし、基地局の小型化に貢献する。また、GaNデバイスに高いドレイン効率を有する「3.5GHz帯移動通信システム基地局用GaN HEMT」を採用。周波数3.0~3.6GHz(動作帯域600MHz)において、ドレイン効率45.9%以上を達成し、基地局の低消費電力化を実現する。

三菱電機は、2017年度以降、出力電力や周波数が異なる次世代移動通信システム向け増幅器に展開するとしている。

次世代移動通信システム基地局の増幅器部イメージ図(左図:従来型広帯域ドハティ増幅器を用いた場合、右図:開発した超広帯域GaN ドハティ増幅器を用いた場合)