75歳未満のがん死亡率が2005年から15年までの10年間で約16%下がったと、国立がん研究センターが21日発表した。肝臓がんや胃がんなどの死亡率(調整死亡率)が大きく下がった一方、子宮頸(けい)がんや乳がんなどは上昇するなど部位別で大きな差が出た。

図 75歳未満の調整死亡率の変化(国立がん研究センター作成・提供)

同センターは2015年の人口動態統計を基にがんによる75歳未満の死亡率を計算した。その結果、15年は人口10万人当たり78人で05年の92人より約16%下がっていた。部位別では、肝臓がんが約49%も下がり、胃がんも約33%低下。一方、子宮頸(けい)がんは約10%上昇、乳がんも約3%上がっていた。大腸がんや肺がんは7%前後の低下にとどまった。

都道府県別でみると、すべてのがんで20%以上下がったのは兵庫、奈良、広島、佐賀の4県あった。同センターは、これらの県は肝臓がん多かったが、C型肝炎ウイルスの感染が減り、死亡率も下がったとみている。

政府は、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画で2015年までの10年間の死亡率低下目標を20%に掲げていたのが、この目標には及ばなかった。数年前からこの目標達成が困難との予測が出始めたため政府は15年に「がん対策加速化プラン」を策定した。同センターは同プランをはじめ、死亡率を下げる対策を一層進める必要がある、としている。

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