日本ヒューレット・パッカード(HP)は12月19日、米ヒューレット パッカード エンタープライズ(HPE)が11月にメモリ主導型コンピューティングの実証実験を成功させた発表した。新アーキテクチャにより、現時点では不可能とされているビッグデータ分析が可能になるほか、同社によると今回の実験成功は世界初だという。

同実験は、プロセッサではなくメモリをコンピューティングプラットフォームの中枢とし、現時点では不可能とされるパフォーマンスと効率を実現するというコンセプトに基づいている。

実験は「The Machine」研究開発プロジェクトの一環として実施し、過去60年間変化することがなかった同社のコンピュータ基盤のアーキテクチャを変革する同社の取り組みが前進したことを示すものだという。

2016年10月にオンラインで公開した実験の結果は、HPEとその研究部門であるHewlett Packard Labsの研究者の設計通りに、新しいアーキテクチャの基本的な構成要素が互いに連携して動作することを証明した。

具体的な結果は以下の通り。

  • それぞれのコンピューティングノードが、共有のFabric-Attached Memoryにアクセス

  • 最適化したLinuxベースのOSを、カスタマイズしたシステムオンチップ(SOC)上で実行

  • 新しいX1フォトニクスモジュールを含むフォトニクス/光通信リンクが互いに接続して動作

  • 膨大な量の不揮発性メモリを利用する、新しいソフトウェアプログラミングツール

このプロトタイプの設計フェーズでは、アーキテクチャの速度は現在のコンピューティングを上回ることをシミュレーションで予測。同社は今回の実証実験で、新しいソフトウェアプログラミングツールを既存製品上で実行し、多様なワークロードにおいて実行速度が最大で8000倍に改善することを実証したという。

同社はプロトタイプにノードとメモリをさらに追加し、大規模データを処理しても同様な結果が得られるものだと予測している。

今後、計算可能な容量のさらなる増加に加え、The Machine研究プロジェクトではエクサスケールのコンピューティングへの取り組みも強化していく予定だ。エクサスケールとは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の新しい分野の1つで、同社では強力なコンピュータを作り出すことを目指している。