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富士フイルムグループの富士ゼロックスは16日、同社が文化活動の一環として行った東洋文庫所蔵の「戸田浦における露国軍艦建造図巻」複製品が安倍首相からロシア連邦プーチン大統領へ贈呈された記念品の一つとして選ばれたことを発表した。

同社は、社会活動の一環として2008年から経年劣化が危惧される古文書など伝統文書の原本を精細に複製する社会活動を行っており、2015年には世界遺産にも登録されている「東寺百合文書」(とうじひゃくごうもんじょ)の複製や舞鶴引揚記念館の資料など30点を超える活動を行いこれまでに神社仏閣や市町村、大学、企業に200点以上の複製品を贈呈している。

今回、同社が複製したのは1924年設立、国宝5点、重要文化財7点を含む約100万冊を所蔵する東洋学の研究図書館「東洋文庫」所蔵の「戸田浦における露国軍艦建造図巻」。のちに日露和親条約を締結するロシアのプチャーチン提督が乗船していたナディア号が航行不能になり、戸田(へだ/静岡県沼津市)において日本近代造船の基礎になったともいわれるヘダ号を建造した際の様子を記した絵巻物。

東洋文庫所蔵の「戸田浦における露国軍艦建造図巻」複製品(同社資料より)

経年劣化による風合いを含んだ原本を正確に和紙へと再現するには、電子化した画像情報から独自のカラーマネジメント技術と同社のグラフィックアーツ市場向けフルカラー複合機「DocuColor 1450 GA」に特殊な設定を加えている。表面に凹凸があり、含水量が均一ではない和紙に対して忠実に色彩を再現するには高度な複写技術が求められるのだという。

16日、同社は来日中のロシア連邦プーチン大統領に安部首相から贈呈された記念品の1つに選ばれたことを発表。同社の企業理念のひとつに掲げられている「世界相互の信頼と文化の発展」を実現すべく、今後も高度な複写技術を活かした文化伝承のための社会活動を実施し、地方創生や地域活性化の動きと連動したソリューションも検討していく、としている。