IDC Japanは12月12日、国内通信事業者のネットワーク設備投資市場の2016年上半期の実績と2016年~2020年の予測を発表した。これによると、2016年上半期ネットワーク設備投資は前年同期比18.1%減、2016年通年の市場規模は同7.8%減の9334億円と予測している。

国内通信事業者ネットワーク設備投資市場予測、2015年~2020年

同社では国内通信事業者のネットワーク設備投資について、通信事業者の「アクセス機器」「光伝送装置」「トランスポート」「無線インフラ」「ネットワーク管理」「コントロール」「ネットワークデプロイメント」などを対象とした市場と定義。

国内ネットワーク設備投資市場をけん引する移動体通信事業者は、3Gサービス向け投資の縮小とLTE(Long Term Evolution)サービス向け投資の効率化に取り組んでいる。その結果、2016年上半期の無線基地局をはじめとする無線インフラ市場は前年同期比と28.7%減少した。

国内のLTEサービスは、エリア人口カバー率が100%に近づいていることから、サービスエリア拡大よりも通信速度高速化を目的とした投資にシフトしているという。そのため、国内無線インフラ市場は2018年以降に増加に転じるものの、緩やかな成長にとどまり、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス2.4%と予測している。

現在、移動体通信事業者は、小型基地局「スモールセル」を増やし、キャリアアグリゲーションの提供エリア拡大と高速化に取り組んでいる。さらに、5Gの商用化に向けて、移動体通信事業者各社はネットワーク機器ベンダーとの実証実験を本格化させているほか、さまざまな産業分野のパートナー企業と連携して、5Gを活用した新たなサービス創出に向けた実証実験も加速させているという。

一方、通信事業者の投資削減に伴って収益が伸び悩む通信事業者向けネットワーク機器ベンダーは、ネットワーク設備事業に次ぐ収益事業として、製造業における工場設備監視などのIoT(Internet of Things)向け通信関連ソリューション開発に取り組んでいる。

IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの藤村成弘氏は「ネットワーク機器ベンダーが、IoT向けの通信関連ソリューション事業を拡大していくためには、製造業における業種別ソリューションパートナーとのエコシステム構築が重要である」と分析している。